半坪ビオトープの日記

赤倉岳の祠


赤倉岳の肩から見晴らしのよい尾根道を進むと、前方にはギザギザの井戸岳(1537m)その右に大岳(1584m)が並んで見える。さらに右手彼方には南八甲田の山並みの一部が見える。

井戸岳と大岳の西側に伸びる裾野を下ったところの広大な湿地帯は、毛無岱(けなしたい)という。毛無岱の右手奥に下ると酸ヶ湯となる。毛無岱の向こうの山は、南八甲田連峰の横岳(1339m)で、その左手奥に櫛ヶ峰(1517m)や駒ヶ峰(1416m)が見える。

尾根道の左(北)側は、火山爆発で吹き飛んだ跡で、絶壁となっていて近寄り難い。強風や霧の時には相当危険を感じるだろう。見晴らしはよいが、なかなか赤倉岳の頂上に着かない。

足下で咲いている白い花は、エゾシオガマ(Pedicularis yezoensis)である。本州の中部地方以北および北海道の亜高山帯〜高山帯の草地に生える多年草で、高さは20~50cmになる。葉は三角状披針形で、縁には重鋸歯がある。花期は8〜9月で、黄白色の唇形の横向きにねじれた花が、葉腋の下段から上段に咲いていく。

風当たりの強い尾根道でも、草の陰にウメバチソウが寄り添って咲いていた。どちらかといえば湿り気のある所に生えるウメバチソウにしては珍しい。

同じように草木の陰に、ユリ科の目立たないネバリノギラン(Aletris foliata)が咲いていた。北海道、本州の中部地方以北、四国、九州の山地帯〜高山帯の湿った草地に生える多年草で、高さは20~40cmになる。花期は6〜8月で、花茎の先に総状花序をつけ、黄緑色〜黄褐色の花を多数つける。花序軸、花柄、花被の外側に粘着する繊毛があり、ネバリノギラン(粘芒蘭)の名がある。

ようやく尾根を上り詰めたところがやや広くなっていて、小さな祠が建っていた。左手にはまだゆるい尾根道が続くが、右手には井戸岳に重なって八甲田山最高峰の大岳が見える。

祠のある突起を過ぎ、一面ハイマツが茂る中、あそこが赤倉岳の頂上だろうと見極めがついたところで引き返した。