半坪ビオトープの日記

大仙市の水神社


角館駅の南約5km、豊かな伏流水に恵まれた宏大な田園地帯が大仙市豊川である。斉内川右岸の杉並木の先に水神社がある。秋田県唯一の国宝である「線刻千手観音等鏡像」を御神体とする神社で知られる。

豊川の水の豊かさをそのまま社号にした水神社は、すいじんじゃと呼ぶ。鳥居はちょっとみすぼらしいが、杉並木はしゃきっと屹立している。

枯枝落下注意と書かれた杉並木の向こうに水神社の社殿が見える。延宝7年(1679)に植えられたとされる水神社の杉は、秋田県の巨樹に選定されていて、最大の杉の幹囲が5.2m、4本の杉が大仙市の記念物に指定されている。

延宝5年(1677)上花園村(現角館町)の草薙理左衛門が藩の許可を得てこの近くで開田のため用水路を開削中に、作業していた肝煎川弥十郎が鏡を見つけた。理左衛門の使いが藩主の佐竹義処に持参言上したところ、堰神として大事に祀るよう仰せがあり、祭祀料も寄付された。その後、藩の援助を得て一宇を建立したのがこの神社の始まりという。祭神として、水波能売大神(みずはのめのおおかみ)を祀っている。

線刻千手観音等鏡像は、普段一般公開されておらず、ご開帳されるのは水神社の例大祭8月17日の14時から15時と、1年に1時間のみである。

拝殿の裏には本殿が連なっているが、その後ろに離れて新しい社殿風の保管庫が建っている。この中に国宝の鏡が厳重に保管されている。

本殿の左後ろの巨木の間にいくつか石碑があるが、詳細は分からない。

本殿の右後ろでは、泉が涌き出して池となっているように見受けられた。

国宝となっている水神社の御神体である鏡は、年に一度1時間しか開帳されないので、レプリカが大仙市中仙市民会館(Don-Pal)に展示されている。

線刻千手観音等鏡像は、直径が13.5cm、厚さ7mm、重さ520gの白銅製の八稜鏡で、鏡面には細い線で仏像が彫られ、中央に蓮台に立った十一面千手観音、左右に眷属8体、右下に婆藪(ばす)仙人、左下に功徳天が配されている。

鏡背の中央にはつまみがあり、それを囲むように蝶、水鳥、さらにその外側に宝相華文が浮彫りされている。鏡背の模様の上には「崇紀、佛師僧、大趣具主延暦僧仁佑、女具主藤源安女子」の線刻銘がある。