半坪ビオトープの日記

八重垣神社、奥の院


須佐神社と同じように八重垣の宮を造ったことから、ここにも八重垣の歌碑がある。

随神門の左にある宝物館には、神社の障壁画としては最古級といわれる、元本殿内にあった壁画=板絵著色神像が収められている。

素盞嗚尊と稲田姫命など6神像が描かれ、国の重文に指定されている。板絵の板は、近年の調査で13世紀中頃の杉板と判明している。全体にかすれているが、稲田姫命と素盞嗚尊の顔だけは表情が鮮やかに残されている。拝観はできるが撮影禁止のため、ガイドブックから転写する。

宝物館の右手には、山神神社がある。祭神は、大山祇命と石長姫命を祀っている。石長姫といえば、大山祇神の娘で、木花開耶姫の姉である。姉妹ともに天孫邇邇芸命の元に嫁ぐが、姉の石長姫は醜かったため父の元に送り返された。幸せになった妹の木花開耶姫を呪ったとか、嫉妬深いとかいわれる。由緒書きによると、山神神社は「山の神さん」と親しまれ、以前は佐草の里西側の山中、金起の旧街道沿いに祀られていたものを明治の頃に八重垣神社の境内に遷された。山・農耕の守護神、夫婦和合、子宝安産の神として信仰を集め、手作りの男根などを供える風習が現在でも続いているという。

山神神社の右には、夫婦椿がある。縁結びの八重垣神社には、2本の椿が仲睦まじく一本に交わった夫婦椿が三つあるが、この乙女椿はその内で最も細い。

乙女椿の脇から奥の院の入口に向って八重垣神社の幟の立ち並ぶ中を進んでいく。

奥の院入口にある夫婦椿は、子宝椿と呼ぶ。一ヶ所に三つ、四つの花をつけるという。

奥の院は、大杉を中心に八重垣を造り、稲田姫が隠れた佐久佐女の森にある。
こんこんと清水が湧き出る鏡の池は、稲田姫命が八岐大蛇から避難している際、日々の飲み水とし、また姿を写す鏡としていたという言い伝えがあり、「姿見の池」ともいう。縁結び占いの池として信仰されている。ここを訪れた小泉八雲も「神秘の森」と称揚したという。

鏡の池の奥に建っているのは、天鏡社である。祭神は、もちろん稲田姫命である。

鳥居の向かい側にある高さ5mほどの夫婦椿は、連理玉椿という。昔、稲田姫が植えた2本の椿が1本に合体したと伝えられている。