半坪ビオトープの日記


岩婦温泉は、四方を山に囲まれた岩婦湖のほとりにある。灌漑用に造られた岩婦湖だが、ヘラブナ釣りやボート遊びもできるという。
左奥に見えるのは伏姫荘で、岩婦湖の右手前奥に古くからある岩婦館があって、そちらに入浴した。石で組まれた浴槽は小さくて二人が限度といったところ。湯は黄褐色透明の硫黄泉で硫化水素臭が漂う。泉温16度の冷泉だから加熱循環している。駅から遠いので、日帰り入浴900円は高いと思った。

近くの道端にクマツヅラ科クマツヅラ属のクマツヅラ(熊葛、Verbena officinalis) が小さな花を咲かせていた。本州以南の野原や路傍に自生する多年草で、花期は6〜9月とされる。花冠は5裂して平らに開く。葉は羽状に切れ込み、バベンソウ(馬鞭草)という生薬として利用される。

館山道をくぐって西に道なりに1kmほど進むと岩井神社に着く。治安3年(1023)に磐井郷の総社として建立され、昔は岩井郷社牛頭天王八雲大社と呼ばれていたという。

祭神として、素戔嗚尊大己貴命少彦名神を祀っている。源頼朝は石橋山で敗れ、伊豆からこの地に渡海し、残兵を集めて岩井神社に籠った。祈願して帰陣の後、境内に八幡宮を建立し、武士に弓術を奨励したという。この故事に倣い、社殿の右に弓道場が造られている。

社宝に鎌倉時代の「懸仏」4面と「獅子頭」3頭がある。懸仏とは、平安時代神仏習合の信仰から生まれ、円形の金属板に仏像が彫られ、柱や壁にかけて礼拝したという。

岩井神社から岩井川を渡り民宿街に戻る途中、岩井川の岸ではアオサギがじっと川面を見つめていた。魚を狙っていたものと思う。