半坪ビオトープの日記

エゴノキにクマバチ

満開のエゴノキの花にはいろいろなハチが寄ってくる。一番大きなハチがこのクマバチだ。クマバチは花粉や蜜を集めるハナバチの仲間で、つかまない限り人を刺すことはほとんどないから安心だ。
エゴノキは、日本全国、中国、朝鮮の山野や渓流沿いに自生する、落葉小高木。5月ごろ総状花序をなして白色花を開くが、花柄が長いため花はすべて下向きに垂れ、数が多くて壮観であり、散った花が下に白く敷きつめられる様も印象深い。花冠は深く5裂し、黄色い葯をもつ多数の雄しべが下からよく見える。
エゴノキの名は、果実を口に入れると果皮がのどを刺激してえごいことに由来する。えごさの成分はエゴサポニンといい、水に溶けて泡立ち、溶血作用もあって洗濯に使われた。麻酔効果もあり、魚毒としてウナギ獲りにも用いられた。材は緻密で器、杖、床柱、釜の柄などに使われる。傘のろくろにも使用するのでロクロギの名もあり、ドクノミ、セッケンノキ、シャボン、チシャノキなど方言名も多い。種子には脂が多いのでヤマガラなどの小鳥が好む。
万葉集には譬喩歌(ひゆか)の花に寄すに、山ぢさの名で出ている。
気(いき)の緒に思へるわれを山ぢさの花にか君が移ろひぬらむ(巻7−1360)
(わたしの命というほどに思っているのに。山ぢさの花のようにあなたは心を移してしまったのかしら・・・ 今野寿美訳)