半坪ビオトープの日記

ウツギ(卯の花)

卯の花の匂う垣根にほととぎす早も来鳴きて・・・夏は来ぬ、と歌われるように、卯の花は初夏を告げる花である。万葉集に24首見られ、ホトトギスとともに詠まれることが多い。日本全国及び中国の山野に自生し、垣根にもよく植えられている。今年は特に早く4月中に咲き出していた。
ウツギの花を略して卯の花という。ウツギは材で木釘を作るから打木の意とか、幹が空洞なので空木の意とか、卯月(旧暦の4月)に咲くからともいわれる。しかし、卯月こそ卯の花の咲く月と解すべきであろう。
ユキノシタ科の落葉低木で、円錐花序を多数だし、白い5弁の花を密に咲かせる。この写真は園芸品種としてよく出回っている類縁種のヒメウツギ。やや小ぶりで関東以西に分布する。
短歌だけでなく俳句にもよく詠まれる。
卯の花の絶え間たたかん闇の門  去来
押しあうて又卯の花の咲きこぼれ  正岡子規
万葉集からは次の2首を挙げる。
霍公鳥来鳴き響もす卯の花の共にや来しと問はましものを 石上堅魚 (巻8−1472)
(ほととぎすに卯の花の開花とともに訪れたのか聞きたいが、今はそのすべもない いそのかみのかつを 中西進訳)
卯の花の咲くとは無しにある人に恋ひや渡らむ片思にして (巻10−1989)
卯の花の鮮やかに咲くようには心を開いてくれない人を、これからも恋い慕うことであろう。片思いのまま・・・ 今野寿美訳)