半坪ビオトープの日記

高山植物園、レブンアツモリソウ原生地

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高山植物園のレブンアツモリソウ

高山植物を探しながら礼文島の岬や草原をあちこち歩いたが、高山植物園にも寄ったので、そこの花も紹介する。礼文島北部の久種湖近くにある高山植物園には、約50種、約2万株の高山植物が育てられている。まずは礼文島の花を代表するレブンアツモリソウ(Cypripedium macranthos var.rebunense)。

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シラゲキクバクワガタ

こちらはクワガタソウ属のシラゲキクバクワガタ(Veronica schmidtiana f.candida)。北海道の礼文島利尻島に分布する多年草。山地や海岸の岩礫地に生え、高さは5〜25cm。全体に白い毛が多く、葉は根元にまとまってつき、やや厚みがあり羽状に切れ込む。花は青紫色で穂状にたくさんつき、二本の雄蕊が長く突き出る。

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シラゲキクバクワガタの白花種

同じくシラゲキクバクワガタの白花種。蕾は淡いピンク色で可愛らしい。

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礼文島固有種のレブンソウ

こちらはオヤマノエンドウ属のレブンソウ(Oxytropis megalantha)という多年草。名のとおり礼文島固有種で、主に桃岩展望台などの南部の草地に生える。花期は6月〜7月だが、今回は残念ながら見つけることができなかった。全体に毛が多く、茎は地面を這い、草丈は1025cm。赤紫色の花を5〜15個上向きに咲かせる。

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カラフトゲンゲ

似たような花に、イワオウギ属のカラフトゲンゲ(Hedysarum hedysaroides)という多年草があり、国内では礼文島大雪山など北海道だけに自生する。しかし、カラフトゲンゲ(チシマゲンゲ)は花が下向きに咲くので、この濃紫色の花はやはりレブンソウである。

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レブンアツモリソウ

この高山植物園に併設される高山植物培養センターで無菌培養・温度管理されたレブンアツモリソウが、5月初旬から8月中旬まで楽しめる。これは鉢植えのためか、完璧な姿を披露している。培養センターでは、発芽成長に必要な共生菌培養株の栽培にも取り組んでいる。

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ウルップソウ

青紫色の花を円柱状の花穂に多数つけて咲くこの花は、ウルップソウLagotis glauca)という多年草。北海道の礼文島と本州の白馬岳山系と八ヶ岳の高山帯に隔離分布している。氷期に日本に南下し、一部に生き残ったと考えられている。希少種で絶滅が心配されるため、自生地は公開されていない。北海道大雪山のみに特産するホソバノウルップソウLagotis minor var.yesoensis)と近縁種だが、葉の幅が違う。

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礼文島固有種のレブンキンバイソウ

こちらはレブンキンバイソウ(Trollius ledebourii var.polysepalus)という礼文島固有種。桃岩展望台のキンバイ谷でも見かけたように、礼文島の南部の草地に生える多年草

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レブンアツモリソウの原生地

高山植物園の近くの道路脇にレブンアツモリソウの原生地があり、数十株の花が咲いている。

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レブンアツモリソウ

レブンアツモリソウは礼文島のみに自生する日本固有種で、主に礼文島北部の群生地で見られるが、乱獲被害を防ぐためのパトロールが常時ものものしく見張っている。

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レブンアツモリソウ

レブンアツモリソウの群生地は、北海道の天然記念物として14.1haが指定されている。桃岩展望台コースでも数人のパトロールを見かけた。近年はパトロールの効果で乱獲が減っているというが、たいへんな努力である。

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レブンアツモリソウ

レブンアツモリソウが見たいと思って礼文島に来たが、花が好きな身としても一種類の花を目指して山歩きに出かけることは珍しい。山と渓谷社の「花の百名山登山ガイド」の1番に礼文島のレブンアツモリソウが掲載されているが、開花時期が5月下旬から6月中旬に限定されていてなおかつ僻遠の地なので、中々企画を立てるのが難しかった。ようやくその可憐な姿を見ることができ十分満足した。