半坪ビオトープの日記

知床、北のカナリアパーク

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ネムロシオガマ

知床集落への下り道は笹原の中のまっすぐな一本道だが、まだところどころに花が咲いている。この白い花は、ネムロシオガマ(Pedicularis schistostegia)という多年草。北海道の根室周辺と礼文島の海岸近くの草原や山の斜面に咲く。茎や葉柄に軟毛が密生する。葉は広披針形で、羽状に全裂し縁に鋸歯がある。花は白色あるいは淡黄白色で、茎先にかたまって咲く。

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シロバナノビネチドリ

こちらの白い花は、シロバナノビネチドリ(Neolindleya camtschatica f.albiflora)という多年草。北海道、本州中部以北、四国、九州の山地帯〜亜高山帯の林内や草地に生える。葉は長楕円形で脈が目立ち、縁は波打つ。花色は白から赤まで色々あるノビネチドリの白花種。

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エゾクサイチゴ

同じく道端で小さなイチゴの花を見つけた。オランダイチゴ属のエゾクサイチゴ(Fragaria yezoensis)という多年草。北海道の東部や北部に自生する。外来種のエゾノヘビイチゴに似るが、雄蕊が雌蕊より長いので区別できる。

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利尻山

登山道も半分ほど下ってくると、笹原のほかに針葉樹や広葉樹の林の中を潜ることもある。利尻山は相変わらず薄曇りの中でも姿を表していて、雨にならずに済みそうだ。

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ハクサンチドリ

赤紫色のハクサンチドリも湿り気のある場所に元気よく咲いている。

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ハルザキヤマガラシ

道端に ナノハナのような黄色い花が増えてきた。この花は、アブラナ科ヤマガラシ属のハルザキヤマガラシ(Barbarea vulgaris)というヨーロッパ原産の外来植物で、明治末に渡来し日本全国に広がり、侵略的外来種ワースト100要注意外来生物に指定されている。同じような外来生物として、オオモンシロチョウが北海道と青森県に土着したのを確認されたのは1996年であり、礼文島でも発見されている。

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チシマフウロ

こちらの青紫色の花は、ゴロタ岬でも見かけたチシマフウロGeranium erianthum)である。北海道〜東北地方の亜高山帯〜高山帯に分布するが、礼文島では低地にも自生し、この辺りで多くなる。北海道には、エゾフウロやエゾグンナイフウロ、トカチフウロなどチシマフウロの類縁種も多い。

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ニワトコと利尻島

利尻島をバックに白い小花を咲かせているのは、ニワトコ(Sambucus sieboldiana var. pinnatisecta)という落葉低木または小高木。日本各地の山野に普通に生え、古来より栽培もされる。春の若葉と同時に枝先に円錐花序を出し、淡黄白色の小花を多数つける。花冠の先端は5深裂して反り返る。若芽・若葉を食用したり、利尿剤に用いたり、アイヌのイナウなどの材料にもされた。樹皮や木部を風呂に入れて入浴剤にしたり、全草を煎じて飲むなどの伝統風習が日本や世界各地にある。漢字表記の接骨木は、枝や幹を煎じて水飴状にしたものを骨折の治療の際の湿布剤に用いたためという。地方により、ヤマダズ(山たづ)、タズノキ、ダイノコンゴウなどの方言名がある。「山たづ」は万葉集にも詠まれた呼び名で、鶴の古名「たづ」に由来する。日本の古名はミヤツコギ(造木)で、「宮仕う木」に由来し、紙を切って木に挟み神前に捧げた幣帛(御幣)が、大昔は木を削って作られた木弊だったものと推定され、その材料にニワトコが用いられたとの説がある。とするとアイヌのイナウにも通ずると思われる。

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北のカナリアパーク

知床に着いた後、香深に戻り昼食を済ませて、また知床近くの北のカナリアパークに寄った。2012年の東映映画『北のカナリアたち』のロケで使われた「麗端小学校岬分校」のセットを利用した記念施設。だが残念ながら、コロナの影響で施設内の見学は中止だった。

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校舎裏手の庭

校舎裏手の庭からは利尻山の勇姿も眺められるので、天気の良い日の絶景はさぞやと思われた。庭にはレブンアツモリソウやミヤマオダマキの白花種も植えられていた。

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レブンアツモリソウ

ラン科の女王とも称えられるレブン固有種のレブンアツモリソウは、満開でとても大きく華麗であった。