半坪ビオトープの日記

ジェノヴァ、トゥルシ宮


白の宮殿の東に隣接するトゥルシ宮は、1565年に建てられたニッコロ・グリマルディの屋敷だったが、後にトゥルシという町の公爵ジョヴァンニ・アンドレア・ドーリアが息子のために買い取ったため、ドーリア・トゥルシ宮と呼ばれる。

現在はジェノヴァの市庁舎として使われていて、明るいロッジアは華やかだが、博物館は白の宮殿の3階から行くことになっている。

トゥルシ宮の博物館内に古代ローマ遺跡の一部が公開されている。ジェノヴァ周辺には紀元前6世紀ごろから人が居住していたとされ、ジェノヴァが天然の良港のためか海運業や軍港として発展していたそうだ。

こちらには、宮殿で使われたと思われるおしゃれなマジョリカ(マヨリカ焼き、錫釉陶器)の壺がずらりと並んでいる。壺の産地はジェノヴァリグーリア州で、16世紀に作られたものである。

壺の中には香草(薬草)や香辛料などが保存されていたようで、最下段には薬草の絵が描かれている。壺には薬草名が焼き付けられていて、カモミール油やオリーヴオイルなどが読み取れる。

こちらの展示ケースには、中世の海洋国家(ジェノヴァ共和国)時代のジェノヴァ金貨が並べられている。中世の西洋では長らく銀貨が鋳造されていたが、十字軍を契機に金貨への関心を強め、フィレンツェのフローリン金貨やヴェネツィアのゼッキーノ金貨やこのジェノヴァ金貨などが鋳造されたという。

こちらは青銅器製と思われる大きな壺型容器であるが、詳細は不明である。

トゥルシ宮で必見なのがこちらのヴァイオリンである。ジェノヴァ出身の著名なヴァイオリニスト、ニッコロ・パガニーニが愛用していた歴史的名器、1743年製のグァルネリ(Guarneri del Gesu “Il Cannone”)である。展示されている部屋「Sala Paganini」は、分厚い扉で仕切られ、ケース内の温度・湿度の情報が、1時間ごとに凄腕のヴァイオリン製作者でもあるキュレーター(学芸員)に報告され、厳重に管理されている。

ジェノヴァ港は、今でもイタリア最大の貿易港で、開発が進む海岸沿いのポルトアンティコは散歩道が整備され、ガラータ海の博物館やジェノヴァ水族館も賑わっている。港に近い路地には海鮮料理の店も多い。

いくつか見て回った後入った店は、Trattoria Vegia Zena というトラットリア。最初の温海鮮サラダ(Insalata di mare calda)は、ムール貝イカ、エビ、アサリなどの盛り合わせで見た目は美味しそうだったが、味はイマイチだった。

ムール貝がたくさん使われた船乗り風海鮮リゾット(Risotto alla Marinara)は、そこそこ美味しかった。

楽しみにした海鮮グリルの盛り合わせ(Grigliata Mista di pesce)は、一番高くてそれなりに美味しいけれど、海鮮をよく食べる日本人にとっては普通のグリルだった。

最後に出てきたオマール海老のタリエリーニパスタ(Taglierini all Astice)が、量は少なかったが何と言っても一番美味しかった。