半坪ビオトープの日記

ジェノヴァ、王宮、アンヌンツィアータ教会


翌朝、フィレンツェからジェノヴァに向かい、ピサで乗り継ぐ時にピザを食べ、ジェノヴァには2時過ぎに着いた。半日だが急いで旧市街地に出かけた。最初に西外れの王宮を見る。鮮やかな赤とクリーム色のコントラストが美しい王宮は、ジェノヴァ共和国時代の17世紀に、バルビ家の館として建築が着手された大邸宅で、17~18世紀の建造物の中ではジェノヴァで最大といわれる。19世紀のサルディーニャ王国時代にはサヴォイア家の宮殿として使われた。宮殿のバルコニーからは活気に包まれたジェノヴァ港が見渡せる。

現在、王宮は貴族の家具調度品、ヴァン・ダイクやバッサーノらの絵画を展示する美術館となっている。最も圧巻なのは鏡の間。鏡の間に通じる廊下の天井も素晴らしいが、左右の壁際には古代ローマ時代の彫刻がたくさん並べられている。

鏡の間の隣の部屋の天井や壁も、スタッコ(漆喰細工)やフレスコ画で装飾されている。

こちらはアドラツィオーネ・デイ・パストーリの絵で、題名は確か「イエス誕生」だったはずだ。

大きな部屋の壁には、豪華なタペストリーが飾られていた。

こちらの絵では、首を持つ戦士がいるので何かの事件の場面だったと思う。

左の建物が美術館になっている王宮で、右に向かい合う建物は大学宮殿という。古くから宮殿を大学に利用していて、現在のジェノヴァ大学である。

王宮と大学宮殿に挟まれたバルビ通りを東に進むとすぐ広場があり、そこに面してアンヌンツィアータ教会が建っている。正式には、サンティッシマ・アンヌンツィアータ・デル・ヴァスタート教会(Basilica SS. Annunziata del Vastato)という。この教会は、1520年にフランシスコ修道会により建設が始められたが、1537年に停止され、1591年にロメッリーニ家がタッデオ・カルローネに依頼して建設が続行された。17世紀初頭、ドームを含む豊かなバロック様式の装飾は、アンドレア・アンサルドにより作成された。現在の新古典様式のファサードは、1830〜40年代にモンテカルロ・バラビーノにより設計された。第二次世界大戦中に爆撃を受け、礼拝堂の多くが破壊された歴史を持つ。

内部はバロック様式だが、身廊の天井装飾と天井画は豪華絢爛、迫力満点で、誰もが見上げて立ち止まってしまうほどだ。

壮大な天井画は主祭壇に向かってクーポラまで続いている。

主祭壇手前の天井も荘厳に装飾が施されていて、この教会がジェノヴァ随一の美しさを誇るといわれることが頷ける。

翼廊の祭壇には、祭壇画に見えるが実際には彩色された立体の彫刻があり、とてもリアルに掲げられていて見とれてしまう。

立体の祭壇彫刻は随所にあり、右から左へと前を行き来して出来栄えの見事さに感心させられる。

この「キリスト降架」も演劇の一場面のようにリアルに仕上げられている。祭壇画ではなく、祭壇彫刻とでも呼べるのではないか。