半坪ビオトープの日記

バルベリーニ絵画館


トレヴィの泉から北東に進むと、ベネト通り、バルベリーニ通り、トリトーネ通りなど主要な通りが交差するバルベリーニ広場に出る。広場中央にはバロック彫刻の傑作として知られるベルニーニの噴水「トチトーネの泉」がある。4頭のイルカに支えられた貝殻の上で法螺貝を吹いているのは、海神ポセイドンの息子トリトンだという。貝殻の下にはバルベリーニ家の紋章である3匹の蜂が彫られている。

バルベリーニ広場から南東の坂を上がるとバルベリーニ宮殿がある。ローマのバロック建築の中でも際立って堂々とした宮殿で、ウルパヌス8世(フィレンツェのバルベニーニ家出身)の命により、1625年から9年かけて、カルロ・マデルノ、ベルニーニとポッロミーニ(マデルノの甥)という「イタリア・バロックの3大建築家」が協力することによって完成された。1949年に政府の所有となり、現在は国立古典絵画館となっている。コレクションは1893年のコルシーニ家からの寄贈に始まり、1949年以降コロンナ宮のコレクション、バルベリーニ家、キージ家所有の絵画などが追加されてきた。主に12世紀から18世紀のコレクションを展示している。1953年の映画『ローマの休日』において、登場人物のアン王女が滞在及び脱走する某国大使館の門は、バルベリーニ宮殿の門が使用された。

1階には主に宗教絵画が展示されている。これは13世紀頃にルッカで活動した画家の『彩色磔刑像』である。

これはフィリッポ・リッピの『受胎告知と二人の寄付者』(1435頃)。

これはラファエロ・サンツィオの『若者(青年の顔)』。

こちらはマルコ・ビジオの『パルカイ3姉妹』。ローマ神話の運命の三女神は、ノナ、デシマ、モルタである。

2階にはラファエロカラヴァッジオなどの名品が揃っている。これはラファエロの『フォルナリーナ(粉屋の娘)』(1518-19)。

こちらはヤン・マチスの作品群である。真ん中の絵は、『ホロフェルネスの首を持つユーディト』。ユーディト(ユディト)は旧約聖書外典の一つである『ユディト記』に登場するユダヤ人女性。

これはカラヴァッジオの『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』(1598-99)。ユーディト(ユディト)を題材にした画家は、ほかにもボッティチェッリクラナッハクリムトなどがいる。
こちらはカラヴァッジオの『ナルシス』(1597-99)。ナルシス(ナルキッソス)は、ギリシア神話で、水鏡に映った自分自身を愛してしまった美少年である。

こちらはエル・グレコの作品。左は『キリストの洗礼』、右は『牧者の礼拝』(1596頃)。

2階の大サロンの幅15m、奥行25mにも及ぶ天井画は迫力がある。ウルパヌス8世がピエトロ・ダ・コルトーナに描かせた『神の摂理の勝利』(1633-39)。ローマ教皇ウルパヌス8世は、ガリレオ裁判に関わった教皇として知られるが、芸術の守護者としても知られる。ガリレオの親友でもあったバルベリーニ枢機卿は、裁判時にはローマ教皇ウルパヌス8世になっていたが、ガリレオを保護することはなかった。

バルベリーニ家の栄光が、一族の紋章でもある3匹の蜂とともに華やかに描かれている。