半坪ビオトープの日記

美ら海水族館、チンアナゴ


「熱帯魚の海」には他にも色々な魚が泳いでいる。大きな青い魚はベラかブダイの仲間と思われる。尾びれが黄色いのが特徴だが、残念ながら名前はわからない。

この大きなエビは、ニシキエビという。相模湾以南に生息し、沖縄では水深50mほどの岩礁サンゴ礁で見られ、淡青緑色の地にピンクや橙色の模様があり、触角と歩脚に黄色と黒色のまだら模様が特色である。色彩が美しく、食用にもされるが、伊勢エビよりは大味であるという。体長は50cmほどで体重は5kgに達することもある。

白くて太い奇妙なウツボは、2006年、沖縄で捕獲され生きたまま水族館に搬入された。キカイウツボの仲間で日本初記録種のため、「ダイオウキカイウツボ」と仮称されている。周りの黄色い魚は先ほども見たヒフキアイゴである。

こちらの細長い魚はなんだろうか。アナゴやハモにしては長すぎる。多分、ウナギ目に分類されるダイナンウミヘビと思われる。

美ら海水族館の生き物の中で最も可愛いと思うのは、チンアナゴといって間違いあるまい。子供だけに限らず、大人も群がって喜んでいる。何しろひょうきんな姿で穴から顔を出したと思うまもなく、スルスルっと引っ込んでしまう様子が可笑しみを誘う。このチンアナゴの体長は約40cm、体の直径は約1cm。体色は淡灰色で小さな黒い斑点が密に散らばり、所々に大きな黒班がある。

チンアナゴの名は、顔の感じが犬の狆(チン)に似るため名付けられたが、「珍穴子」とも表記されたりする。英名の「garden eel・ガーデンイール=庭のウナギ」は、頭を出し入れする様子が庭の植物が育つ様子を思わせるからといわれる。よく見ると、体に黄色の縞模様のあるものがいるが、それはニシキアナゴという近縁種である。

こちらはタツノオトシゴの仲間で、クロウミウマ(黒海馬)という。南日本を含むインド太平洋熱帯域に生息する大型種で、全長は30cmに達する。この水槽にいるのは、この水族館で生まれて3歳になっているという。メスはオスの育児嚢に産卵するが、オスは腹部が膨れてちょうど妊娠したような外見となり、「オスが妊娠する」ともいわれる。卵は孵化に2・3週間かかるが、仔魚は孵化後もしばらくは育児嚢内で過ごし稚魚となる。その後、オスは尾で海藻に体を固定し、体を震わせながら稚魚を産出する。

中央にはまたツノダシが優雅な姿で泳いでいる。その右奥の黒と黄色の縦縞の魚は、カゴカキダイである。右手前のフグの仲間の魚は、ハリセンボンである。鱗が変化した棘をたくさん身にまとい、敵を威嚇するときには体を膨らませて棘を直立させ、体を大きく見せて身を守る。

青い光の中に浮かび上がるクラゲたちの、ゆったりとゆらゆらした動きには癒される。このクラゲはタコクラゲという。関東以南の温暖な海域に生息し、カサに触手はないが、傘の下に8本の口腕があり、その先から細長い付属器が伸びる。その形がタコの足に見える外見からその名がつけられた。毒がないというので、安心して見ることができる。

水族館で鑑賞するクラゲは、プカプカ、スイスイと優雅に泳いでいるが、海に浮かぶクラゲは毒があって刺される危険がある。私も有毒のクラゲの触手が首に巻きついてひどい目にあったことがあるので、海の中で遭遇するのは好まない。沖縄県内に広く分布するこのハブクラゲは、死亡例があるほど猛毒のクラゲで、カサは10cmほどだが触手は1.5mにも達し、カサが半透明で見つけにくいため、要注意である。沖縄の海で最も被害が多い危険生物とされるので、覚えておいた方が良い。