半坪ビオトープの日記

対馬、烏帽子岳展望所

 

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アナゴ重定食

昨夏、対馬一周6日間の旅をした。対馬朝鮮半島に直面しているので、古来より文化交流と国防の最前線だった。3世紀の魏志倭人伝に最初に登場する倭国のクニとして描かれ、古くから日本と大陸を結ぶ海上交通の要衝だった。細かいことは順次述べることにするが、玄界灘対馬海峡に囲まれた対馬は海の幸にも恵まれている。対馬はアナゴの水揚げ高が日本一で、対州黄金アナゴが味わえるアナゴ料理専門店「あなご亭」がある。しかし、コロナ禍で観光客が激減したので、この店を含め多くの郷土料理店が休業となっていた。その中で交通の要所、美津島の交差点に面した店「肴や えん」にはアナゴ料理があったので、アナゴ重定食を頼んだ。他にも刺身定食、ひおうぎ貝の天ぷら定食、あらかぶの唐揚げ定食など、いろいろあって頼もしい。とにかくアナゴ料理にありついたが、専門店ではないためか、味がイマイチだったのが残念だった。

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ヤマネコ飛出し注意

対馬は南北に細長い形状の島で、中央部がくびれて浅芽湾(あそうわん)となっている。まず、その浅芽湾を眺め渡せる烏帽子岳展望所に向かう。対馬は全体的に山がちで険しく、耕作に適した平地は少ない。細い道に入るとすぐ薄暗い森の中となる。対馬固有の希少動物として有名なツシマヤマネコは、絶滅危惧種に指定され、生息地が鳥獣保護区に指定されているが、それ以外の地区でも散見され、交通事故に遭う事例も出ている。「この先ヤマネコ飛出し注意」の看板を見つけて、辺りを見回しながら森の中を進むが、そう簡単に遭遇することはなかった。

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烏帽子岳展望所へ

烏帽子岳は標高176mの低山であるが、山頂近くの駐車場から階段を10分ほど上っていくと展望所に着く。

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烏帽子岳展望所より

烏帽子岳展望所は島随一の景勝地といわれ、浅芽湾の雄大な景観が360°ぐるりと見渡せる。手前に見える淡緑色の花は、ミカン科のカラスザンショウ(Fagara ailanthoides)。本州以南の暖地の沿海地や山地に生え、高さ5〜15mになる落葉高木。葉は大型の奇数羽状複葉で互生する。小葉は9〜15対で約10cmの広披針形。7〜8月、枝先に小さな花を多数つける。対馬には固有の生き物が多く生息するが、オウゴンオニユリやツシマギボウシなど、対馬固有の植物は意外と少ない。

 

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烏帽子岳の北

烏帽子岳展望所は浅芽湾を北側から眺めるが、烏帽子岳の北の麓には竜宮伝説が残る和多都美神社があるのだが、深い森に遮られて見定められない。右手に杉の植林があるが、森のほとんどは常緑広葉樹で占められている様子。入江の奥には豊玉町の仁位の集落が微かに認められる。島中が無数の山々で埋め尽くされているのがよくわかる。

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西を眺める

西を眺めるとリアス式海岸に囲まれた仁位浅芽湾が左右に横たわっているが、よく見ると、対岸は細長い半島になっていて、その向こうに見える海は、日本海対馬海峡(西水道)である。

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南西を眺める

南西を眺めると仁位浅芽湾を囲む細長い半島の向こうに、大きな浅芽湾の出入口である大口瀬戸と対馬下島の美津島町尾崎の岬が見える。

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南南西を眺める

南南西には、仁位浅芽湾とだだっ広い浅芽湾が交わる辺りが見える。浅芽湾は右に左に複雑に入り組みながらさらに東へと伸びているが、烏帽子岳から続く山地に遮られて途切れ途切れに見える。

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南南東を眺める

南南東の方角には多島海のように小島が散在し、入江と半島が複雑に絡み合って、対馬上島と対馬下島の間に横たわる、浅芽湾の典型的な溺れ谷の様子に驚嘆する。左手前の入江は濃部浅芽湾という。その上の入江がまだまだ浅芽湾として複雑に入り食みながら東に南に伸びていて、大船越や万関橋を越えて対馬の東側、つまり対馬海峡(東水道)へと通じている。彼方に見える山々は対馬下島の北部の山だが、後日、その周辺も見て回ることになる。

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東の濃部浅芽湾の入江

東には濃部浅芽湾の入江が見える。多少の平地があると集落が発生するが、隣の集落との交流は難しそうだ。浅芽湾の自然海岸線の延長は日本一の長さがあるとされるのも頷ける。とりあえず、対馬中央部に横たわる広大な浅芽湾の地形、地勢を眺め渡すことができた。