半坪ビオトープの日記

外宮参道、伊勢うどん


別宮3つの後は、神楽殿と九丈殿の間を北に裏参道を進む。五丈殿を過ぎると鬱蒼とした杜となり、やがて左手に切妻造二重板葺きの忌火屋殿が垣間見える。ここでの「忌火」とは、不吉な意味ではなく清浄な火を意味し、御火鑚具(みひきりぐ)を用いて清浄な火をおこし、その火を使って日別朝夕大御饌祭や諸祭典の神饌を調理する。

忌火屋殿の次に北御門鳥居があり、そのすぐ先左手に御厩(みうまや)が建っている。

御厩には、皇室から牽進された神馬が飼育されている。神馬は毎月1日、11日、21日の3度、菊花紋章の馬衣をつけて神前に見参する。草音号、笑智号の名が見えるが、馬の姿はなかった。

裏参道を抜けると北御門口火除橋を渡り、外宮境内を出る。振り返ってみると、鬱蒼とした杜の彼方に北御門鳥居が小さく見える。外宮境内は左側通行であった。

外宮と伊勢市駅をまっすぐにつなぐ外宮参道には、名物の伊勢うどんの店や伊勢唯一の地ビールを味わえる酒屋、焼き饅頭の「ぱんじゅう」や赤福餅などの和菓子屋、海鮮食堂や土産物屋などの店が並ぶ。

内宮前のおはらい町やおかげ横丁に比べれば店は少ないが、内宮で人気の店がここにも出店している場合が多い。この老舗練り物店・若松屋もその一つで、食べ歩きにもってこいのチーズ棒などちょっとしたつまみが色々揃っている。

名物の飛竜頭は、魚のすり身と豆腐に様々な具がたっぷり入ったがんもどきで、ボリュウムがあり美味しそうなのでついつい買ってしまった。

名物の伊勢うどんは、最終日の帰りがけに伊勢市駅の南西にある老舗の「山口屋」に寄ったのだが、外宮参道の近くなのでここで取り上げておく。伊勢参りに長旅をしてきた人向けに江戸時代に提供されたのが最初で、この地方で農民が食べていた地味噌のたまりをつけたうどんを食べやすく改良したものといわれる。

山口屋は昭和初期からの伊勢うどん屋で、創業以来頑固に守り続けた変わらぬ味は、雪のように白くて、玉のように太い麺に、墨のように黒いタレがかかる。素うどんにネギだけで食べるのが定番といわれるが、てんぷらやかまぼこ、肉など具沢山の「ごちゃ伊勢うどん」を食した。

こちらは肉伊勢うどん。1時間ほど茹でるというもちもちの極太のうどんは、歯ごたえのある讃岐うどんとはまったく対極にあるうどんで、珍しいだけで好みには合わないと思った。