半坪ビオトープの日記

萩往還「三島牛」・松陰記念館


山口市から萩市に向かい、萩城下の玄関口にある道の駅萩往還内の「見蘭牛ダイニング玄」で昼食をとる。和牛のルーツといわれる「見島牛」とその血統を受け継ぐ「見蘭牛」を使用した、萩の精肉専門店ミドリヤファーム直営のレストランなので、萩ブランド牛のハンバーグを目当てに立ち寄った。

店名にある見蘭牛は、見島牛(父)とオランダ原産のホルスタイン種(母)を昭和48年に交配させて誕生したオリジナルブランド牛で、そのハンバーグは定評がある。
萩市の北45kmに浮かぶ離島「見島」に生息してきた見島牛は、何世紀にもわたって純粋な和牛の血と姿を守り続け、昭和3年に国の天然記念物に指定された。現在7戸の農家が育てる見島牛は90頭ほどで、食肉用として出回るのは年に12〜13頭と非常に希少である。見島牛はこの店でも土日限定で20食のハンバーグのみしか味わえないので、開店前に並ばなければありつけない。
見蘭牛ならば、ステーキもあるし、ハンバーグも人気が高い。「至極の金」が見蘭牛100%、「究極の黒」が見蘭牛50%+むつみ豚50%、「至高の赤」がむつみ豚100%のハンバーグで、どれも1000円前後。そしてこちらが「極み」で、幻の見島牛100%のハンバーグで1900円である。ソースはだいだい酢ソースとデミグラスソースの2種がつく。

ハンバーグの表面はこんがり焼かれていて、箸を入れてみると肉汁がほとばしるわけではない。しかし、一口食してみると肉が柔らかく、肉のスパイスが控えめで、肉本来の味が十分に楽しめる。和牛本来の自然な霜降り肉の起源、天然記念物の幻の見島牛は、期待通りの絶品の味だった。

道の駅萩往還には松陰記念館が併設されている。館内には松陰が旅したルートを示す日本地図や、松陰の生き方やその背景、手紙のレプリカなどの松下村塾関連資料のほか、毛利氏の参勤交代により開かれた石畳の「萩往還」に関する資料も展示されている。

記念館の前には、吉田松陰を真ん中に、左に高杉晋作、右に久坂玄瑞と3人が並んだ銅像をはじめ、松下村塾の塾生10人ほどの銅像が建っている。

松陰記念館の中では、実物大の人形を使って松下村塾の活気ある議論の様子がナレーション付きで再現されている。

これは吉田松陰(幼名、杉虎之助)が、安政6年(1859)の刑死の直前に塾生たちに宛てに書いた「留魂録」という遺墨のレプリカである。この遺書は松下村塾門下生の間で回し読みされ、松門の志士達の行動力の源泉となった。なんとか塾生に伝わるようにと2通作成したという。

全16章と長い手紙で、解説文と現代語訳がないと読み通せない。
冒頭の句「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置かまし大和魂 十月念五日 二十一回猛士」
最後の句の最終行「七たびも生きかへりつつ夷をぞ攘はんこころ吾れ忘れめや 十月二十六日黄昏書す 二十一回猛士」
二十一回猛士とは松陰とは別の号である。「二十一回」については、名字の「杉」の字を「十、八、三」に分解し、これらを合計した数字が「二十一」になること、および「吉田」の「吉」を「十一口」、「田」を「十口」に分解して組み合わせて「二十一回」となることにより付けられたという。