半坪ビオトープの日記

弥陀ヶ原遊歩道


室堂から弥陀ヶ原へ3時間のハイキングコースがあるのだが、途中に崩落箇所があって進入禁止ということなので諦めた。というより荷物を背負って滑りやすい木道やクサリ場は元々無理だと思われた。弥陀ヶ原でバスを途中下車して、遊歩道を散策することにした。
バス停そばの道の脇に咲いていた花は、シモツケソウ属のオニシモツケ(Filipendula camtschatica)である。北海道と本州中部地方以北の山地帯から高山帯の林縁や湿った草地に生える多年草で、高さは0.5~1.5mになる。大きな葉はふつう掌状に5中裂し、縁には粗い切れ込みと重鋸歯がある。花は散房状に小花をたくさんつける。

こちらの道端にはテガタチドリとバラ科のワレモコウ(Sanguisorba officinalis)が咲いていた。ワレモコウは、日本各地の日当りのよい山野に生える多年草で、高さは70~100cmになる。枝先に暗赤色で円筒状の直立した花穂をつける。初秋の山野を彩り、親しみを感じさせる野草である。

弥陀ヶ原ホテルの脇に、マツムシソウ属のタカネマツムシソウ(Scabiosa japonica var. alpina)が咲いていた。本州中部地方以北と四国の亜高山帯から高山帯の草地や砂礫地に生える2年草または1年草で、高さは20~30cmになる。葉は羽状に深く裂け、重鋸歯がある。和名は、夏の終わりマツムシの鳴く頃に咲くことによる。

弥陀ヶ原ホテルの裏手から遊歩道が始まる。雨上がりでも滑らないよう工夫を凝らした木道が長々と続く。

チングルマの花が咲いている湿地に、赤っぽいカエルが動いていた。皮膚のイボの様子から、アズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus)と分かる。本州の山陰地方、近畿地方以東および北海道に分布する。大きさは6〜15cmと大型で、この個体は6cmほどなので2年目位の個体であろう。

弥陀ヶ原高原は、標高約1,600~2,100m、南北2km、東西4kmにわたる高原である。木道が敷かれた湿原にはガキの田と呼ばれる池塘が点在する。

ガキの田広場の近くには、キスゲ属のゼンテイカ(Hemerocallis dumortieri var. esculenta)が咲いている。本州中部地方以北の山地帯から高山帯の草地や湿地に群生する多年草で、高さは60~80cmになる。

ゼンテイカは、朝開いて夕方にはしぼむ1日花で、直径約5cmのロウト状鐘型、雄しべは上に曲がる。別名のニッコウキスゲの名がよく知られている。禅庭花という名は、日光の戦場ヶ原を中禅寺の庭に見立て、そこに咲く花として名付けられたという。