半坪ビオトープの日記


訪れた数日前に、神代植物公園の大温室で珍しいムユウジュ(無憂樹)の花が咲いているとの記事が新聞に載った。
インド菩提樹沙羅双樹とともに仏教三大聖樹の一つとされるムユウジュ(Saraca asoca、indica)は、マメ科サラカ属の常緑小高木で、インドから東南アジアにかけて広く分布する。
釈迦が生まれたところにあった木とされる。摩耶夫人がルンビニ園でこの美しい花に触れようとしたとき、釈迦が右脇腹から歩み出て「天上天下唯我独尊」と唱えたと伝えられている。
インドでは乙女の恋心をかなえる木、出産、誕生、結婚に関わる「幸福の木」として愛好されている。

こちらの淡青紫色の花は、クマツヅラ科のクレロデンドルム・ウガンデンセ(Clerodendrum ugandense)という。ウガンダから旧ローデシアに自生する低木で、別名、ブルーエルフィン(Blue Elphin)とかベンケイクサギとも呼ばれる。日本に咲くカリガネソウの仲間で、蝶が舞うように咲く花の姿が美しい。

このツバキに似た黄色の花は、キンカチャ(金花茶、Camellia chrysantha) という。中国南部の広西省とベトナムの限られた地域に分布するお茶の木に似た常緑低木で、高さは2〜3mほどになる。1〜3月に開花し、花には芳香がある。

この大きな実は、カカオ(Theobroma cacao)の実である。アオギリ科カカオノキ属のカカオで、属名は、ギリシア語 theos(神)と broma(食物)に由来し、カカオが高価で神か王でなければ口にできない意味から命名された。カカオは熱帯アメリカ原産で、かなり古くにメキシコ東部のユカタン半島グアテマラに移入され、マヤ族とアステカ族の手により順化されたという。1502年にコロンブスにより旧世界に知られたが、飲料製造は17世紀以後であり、現在のような粉末製造は1828年にオランダのバン・ホーテン社に始まる。