半坪ビオトープの日記


青森県秋田県の県境に位置し、日本最大のブナ林を有する白神山地は、平成5年に日本初の世界自然遺産に登録された。天然記念物のクマゲラニホンカモシカツキノワグマなどが生息している奥深い森で、周辺にはいくつかトレッキングコースもある。
白神山地に発し鯵ヶ沢に流れ込む赤石川は、昔から水量豊かな清流で、金鮎やイワナが有名で釣り人に人気があった。今でも、幻の魚「イトウ」の養殖場がある。
しかし昭和20年に発生した大規模な洪水・土石流により流域にあった大燃集落が全村全滅した。「遭難者追悼の碑」がハロー白神の近くに建つ。その後、砂防ダム・堰堤が多数設置され、上流の赤石ダムから水の97%が隣の深浦町の十二湖の発電所にまわされるようになり、赤石川の清流を取り戻す水利権問題が続いている。

赤石川渓流沿いにある「ハロー白神」は、白神山地に生息する動植物、昆虫標本、マタギ文化の紹介などの各種展示がある自然観察館である。
白神山地で最も広域の鰺ヶ沢町と白神周辺のジオラマや、ミニ白神にもある、熊の爪痕が残る木も展示されている。

これから訪れるくろくまの滝の奥にも、第2の滝、第3の滝など名もない滝が20近くあるという。

自然観の若い職員も、そのうち4つほどしか見ていないというから、赤石川の最上流を極めるにはかなり険しい沢登りを要すると思われた。

この紫色の花は、白神山地特産のクワガタソウ属のシラカミクワガタ(Veronica schmidtianum ssp. senanensis var. shiragamiense)の写真である。白神の名を冠する唯一の植物であるがミヤマクワガタの地域変種である。

ハロー白神の向かいには、旧大燃集落の大山祇神社がある。昭和20年の洪水の時16人が逃げて助かった場所でもある。ここには大正10年建立の社標、いわゆる「マタギ碑」があり、旧藩時代の大又鬼(おおまたぎ)、小又鬼、鉄砲上手の人、熊猟多の人の名が刻まれていて、マタギ研究の好資料として注目されている。しかし大燃集落の「赤石またぎ」に関する古い資料は、洪水ですべて失ったという。