半坪ビオトープの日記


青森県の最高峰である岩木山(1625m)は、津軽平野の中心に聳え、「津軽富士」とも呼ばれる円錐形の二重式火山である。津軽の人々は先祖の霊がこもる霊峰として昔から信仰してきた。太宰治はその山容を「十二単を拡げたようで、透き通るくらいに嬋娟たる美女」と例えている。
津軽岩木スカイラインは、その麓から8合目までを結ぶ全長9.8kmの有料道路で、昭和48年に開通した。原生林の中を縫うように69のカーブが続く。8合目駐車場から9合目の鳥ノ海までリフトがあり、さらに山頂まで歩いて40分ほどで着く。
山頂部は、岩木山鳥海山・厳鬼山(岩鬼山)の三峰で形成される。天明3年(1783)の大噴火による火山灰の降灰は、天明の大飢饉の一因になったといわれる。
楽しみにしていたハイキングだったが、前日から岩木山は雲がかかって少しも見えず、この日は朝早く8合目まで上ってみたけれども濃い霧のため断念した。その後も東京に帰る日まで津軽を含め岩木山の周りを巡っていたが、残念ながらとうとう一度も「津軽富士」の秀麗な山姿を見ることができなかった。

この黄色い花は、岩木スカイラインの道路脇で見かけたミヤコグサ属のミヤコグサ(Lotus comiculatus var. japonicus)である。日本全土の道端などに生える多年草で、珍しいものではないが、山で見るせいか蝶型の花がかわいい。

こちらの白い花は、チダケサシ属のトリアシショウマ(Astilbe thunbergii var. congesta) という。本州中部以北、北海道の山や草原に自生する多年草で、花序はよく枝分かれし、粟粒のような小さな花がたくさんつく。

この鮮やかな紫色の花は、アヤメ属のノハナショウブ(Iris ensata var. spontanea) である。日本全国の山野や湿原に生える多年草で、ハナショウブの原種である。よく見かけるが、いつ見ても優美である。

岩木山白神山地の近くにあり、同じくブナの木が多く、スカイラインの入口に近いここには「ぶなの泉」の表示があった。