半坪ビオトープの日記


白くて長い雄しべが放射状に多数飛び出ているこの花は、フトモモ科ギンバイカ属のギンバイカ(銀梅花、Myrtus communis) という。
地中海沿岸から南西ヨーロッパ原産の常緑性低木で、高さは2mほどになる。池袋近くの自由学園の庭で見かけた。

花期は5〜7月。長さ約4cmの光沢のある葉は、もむと強い芳香を放つ。地中海地方では食品、酒などの香料に使用したといわれる。
別名に、イワイノキ、ギンコウボクがある。ハーブとしてはマートルと呼ぶことが多い。

古代諸民族には、ギンバイカにまつわる伝承や慣習が多かったという。古代エジプトでは、この木は愛と歓喜の女神ハトル(Hathor) に捧げられていたし、古代地中海域では、愛の女神アフロディテの神木であった。ギリシア・ローマ時代にはまた、凱旋将兵の額をこの木とゲッケイジュの枝輪で飾った。ローマ人が愛したのはその芳香の故であり、ローマの女たちはビーナスの美しさにあやかろうと浴場にこの葉を入れた。酒に浸せば味も良くなり強壮的効果もあると信じていた。後世、死者の頭をこの枝葉で飾る風習もあり、キリスト教では異教のしきたりとして禁じていたが、イギリスではそれが19世紀まで行われていたという。