半坪ビオトープの日記


日本にはユリの種類が多く、古代から観賞されてきた。「古事記」や「日本書紀」には佐由利、左由利、山百合草などの表記があり、「万葉集」の中には短歌、長歌合わせて十首を超えるユリの歌がある。
この花は、ピサ(Pissa) とかモナ(Mona) という品種に似ている。

万葉の歌に詠まれたユリは、関西の山野に多い桃色のササユリ(L. japonicum、別名サユリ) と推定されている。「古事記」によると、九州から大和にきた神武天皇は大和の娘、伊須気余理比売命(いすけよりひめのみこと)と出会う。
この娘の近くには山百合草が咲き乱れ、古代の人はこれを「さい」といった。百合のように美しい娘は神武天皇と結ばれ、皇后となる。

その「さい」の花も今のササユリとされる。この百合伝説に基づき、推古天皇元年(593年)に造られた奈良市の率川神社は、三輪山のササユリを飾りにする三枝祭りを1300年以上続けている。
斑点のあるこの花は、クリホマレ(栗誉)という品種に似ている。

三枝の名は、ササユリが最初の年は一つ、二年目には二つ、そして三年目からは毎年、三花を咲かせることに由来する。三枝は幸種(さいぐさ)でもあり、幸福をもたらすものといわれている。
この緑がかった淡黄色の花は、ミドリノヨウセイ(緑の妖精)という品種に似ている。