半坪ビオトープの日記

ノウゼンカズラ科キリ属のキリ(桐、Paulownia tomentosa) は、この三波石峡辺りに限らず、農村や山村によく植えられている。本州、九州の山野に古くから自生しているようだ。原産地は韓国のウルルン(鬱陵)島という説が有力だがはっきりしない。
用途が広く古くから活用されているとはいえ、奈良時代の下駄より前の遺物が見当たらないとするなら、中国あるいは朝鮮半島から渡来したのだろう。
5月に葉に先立ち紫色の筒型の花を下向きに咲かせる。高さ15mに達し、材質は国産材の中では最も軽軟で、不燃性、防湿性に富み、狂いが少ないので箪笥などの家具や楽器、下駄や彫刻材など用途が広い。
高貴な色とされる紫色の花と整った葉の形から、平安時代以降貴族や皇室の紋章や武士の家紋に使われることが多かった。