半坪ビオトープの日記

キリ(桐)

先日、職場の近くでキリ(桐)の花が咲いているのを見かけた。農村ならよく見かけるだろうが都会では珍しい。
キリは「枕草子」や「源氏物語」にも登場するノウゼンカズラ科キリ属の落葉高木で、古くから各地に栽培されている。原産地は韓国の鬱陵島といわれるが、本州、九州の山岳地帯にも野生があり、天然かどうか意見が分かれている。
幹は成長が早く、直立して8〜15mになる。5月、枝先に大きな円錐花序を直立し、長さ5cmほどの紫色の花を多数つける。
平安時代には高貴とされる紫の花色が愛され、貴族や宮廷の庭によく植えられた。昔は女の子が生まれると庭にキリの木を植え、嫁入りの際に箪笥を作ってもたせる風習が各地にあった。家具、琴、下駄、小箱、彫刻材など昔から用途が広く、樹皮は染料となる。
属名のパウロウニアは、ロシアの王女アンナ・パウロナに因んでつけられたという。
さて、昨日、中野区内でナガサキアゲハのメスを見かけた。ナガサキアゲハといえば、子供の頃は関西以西にしか棲息していなかったはずだ。ツマグロヒョウモンと同じく南方系の蝶だが、地球温暖化で北上を続けていて、2003年には千代田区で観測されているという。今ではそれほど珍しくないのかもしれないが、とにかく驚いた。