半坪ビオトープの日記

サクラにメジロ

早かったサクラの開花予想が修正されて延びたはずだが、今日、街中を散歩した限りでは、あちらこちらで咲いていた。開花予想はソメイヨシノが対象だが、既に咲きだしているサクラがソメイヨシノかどうか確定するのは難しい。ソメイヨシノ駒込の染井の植木屋が広めた、オオシマザクラエドヒガンの雑種であることはよく知られている。山に自生するオオシマザクラエドヒガンがそのまま街中で見られるわけではなく、300種類も園芸品種が作り出されているから特定することは難しい。もちろん、大ヒットしたソメイヨシノは全国に広まって最も多く植樹されているので、最もよく見かけていることにもなるが。
そのソメイヨシノに似たサクラの花が満開になっている木にメジロの番が蜜を吸いに来ていた。夢中になって花から花へ渡り歩いているので、何枚も写真を撮ることはできたのだが、なかなかメジロの白い目の隈が撮れずに苦労した。
さて、サクラの「サ」は、古代日本人が神聖感を覚えた音で、神霊を意味するようになり、特に農耕神、サガミ(田神)をさすに至った。「クラ」は「座」を意味する。すなわち、サクラは「田の神の憑(よ)る座」だった、というのが桜井満氏の説である。サクラは農耕文化と深く結びついており、その年の豊凶を占う木でもあった。
一方、万葉集辞典によると、サクラのサクとは、物の先端(ハナ、サキ)に霊威が依り憑く状態だという。SAKを語根とし、サキワイ(幸)、サカリ(盛)、サキ(先、岬)、サケ(酒)などと同根の語である。動詞のサクも先端に季節の霊威が依り憑き開裂する意で、その状態を示す花がサクラである。
万葉集には、ハギ、ウメよりは少ないが、それでも40首ほどサクラの歌がある。そして短命だから美しいと山部赤人は歌う。
あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいと恋ひめやも (巻8−1425)
幾日も長く咲き続けるものならば、山桜の花をこんなに恋しくは思わないだろう