半坪ビオトープの日記

ウメ(白梅)

自然教育園の帰りに近くの泉岳寺に寄ってみた。赤穂義士の墓がある寺で、庭には紅白の梅が咲いていた。
今年は記録的な暖冬のため、例年より早くからいたるところで梅の花は咲いていたが、まだこれから咲くものもあれば、ちょうど満開にさしかかったものもある。
ウメはモモやサクラと同じバラ科で、2月から3月に咲き、紅梅のほうがやや遅い。江戸時代には96種記録され、明治16年には283種記載されている。現在は300種以上あり、系統的に分類されている。野梅系、難波系、紅梅系、紅筆系、緋梅系、杏性、摩耶紅系、青軸系の八つに分けたり、野梅系、豊後系、紅梅系と三つに分けたりする。
古来より観賞用のほか食用として利用され、梅干の記述は平安時代からある。紫蘇を加えて赤くするのは日本独自の方法で、江戸時代から行われている。100年以上経っても食べられるといわれ、現存最古のものは奈良県の中家に伝わる梅干しで、天正4年(1576年)に漬け込まれたものが良好に保存されている。
中国では古来より漬物にされていて、B.C.200年ごろのものという馬王堆からも、梅干しが入っていたと考えられる壷が出土している。梅酢は金属の鍍金やはんだ付けのためにも用いられ、東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたという。梅酢は青酸が登場する昭和中期まで大量に使われていた。
ウメの実には青酸配糖体であるアミグダリンという成分が含まれており、胃腸で分解されると猛毒である青酸を出す。ただし、漬けることでアミグダリンはほぼ消失し、食べても人体にはほとんど影響がないとされる。
梅の語源ともされる漢方薬の烏梅(ウメイ)は、未熟なウメの果実を燻製して作る。鎮痛、解毒、風邪薬、胃腸薬、切り傷の手当て等、民間薬としても重宝され現在に至っている。紅花染めの媒染剤(クエン酸)としても古くから利用され、口紅、頬紅にも欠かせなかった。