今回のバンコク旅行の目的は、「アジアのベストレストラン50」において2015年から4年連続でNo.1の座に輝き、2018年版ミシュランでは2つ星を獲得した、プログレッシヴ・インディアン・レストラン「Gaggan」で食事することだったが、残念ながら2019年8月に閉店していた。「世界で最も予約の取れないレストラン」とも呼ばれた、スペインの伝説的なレストラン「El Bulli」で研鑽を積んだインド人のオーナーシェフ、ガガン・アナンド氏は、バンコクの店を閉店した後、2021年には福岡で開店する計画を練っているといわれていたが、2019年11月にバンコクに「ガガンアナンド」というレストランをオープンしていた。
閉店整理中のGagganの向かいには、世界一のレストランとして有名なデンマークの「noma」で研鑽を積み、Gagganでスーシェフを務めた、ガリマ・アローラ氏(Garima Arora)がオーナーシェフとなっている、2017年に開店した姉妹店「Gaa」がある。ここも人気があってディナーの予約が全く取れず、仕方なくランチの予約にした。時間前に店に着くと、オーナーシェフのアローラ氏が店前で笑顔で出迎えてくれた。店前にはヒンドゥーの祠があり、美しく飾られている。
ムンバイ出身のインド人女性アローラ氏は、2019年、バンコクでミシュランの星(一つ)を初めて獲得したシェフとなり、さらに、アジアで最も優れた女性シェフにも選ばれた。同年のアジアのベストレストラン50では16位となっている。メニューは14品と10品のコースのみで、ワインペアリングなどもあるが、14品コースにタイの白ワイン(GranMonte asokevalley)を頼む。品数が多いので選んで載せる。これは前菜のServing of Oysters(Pomegranate & Spicy Shallot, Coconut & Pandan)。右がザクロとスパイシーエシャロット、左がココナッツとパンダンの味付け。パンダンリーフ(ニオイタコノキ)とは、抹茶のような緑色で、バニラのような甘い香り、あるいはチマキの笹のような香りを楽しむ、東南アジアの菓子などに使う材料。
こちらはSea urchin(ウニ)。クラッカーの上に雲丹をのせ、グレープフルーツを飾る。
こちらのパフォーマンスは、Savoury Betel Leaf。Betelとはキンマ(蒟醤)と呼ばれるコショウ科の常緑つる性植物のことで、葉を噛みタバコのように噛む嗜好品として使用される。そのキンマの葉を素揚げにして、軽くスパイスをまぶしている。
こちらはDuck Takoyaki 。アヒルのひき肉のたこ焼き。上の黄色は柚子のような柑橘類の皮を刻んだ香りづけ。
こちらはFrozen Chikin Liver & Longan on Toast。トーストの上に皮をむいた龍眼と、フローズンされた鶏レバーペーストが削られてのせられている。
こちらがCorn。鮮やかに模様をつけて焼かれた鞘付きのヤングコーン。
皮の鞘を抜くと剣のようにヤングコーンの実が現れる。コーンとミルクとビネガーのエスプーマのディップをつけて食べる。
こちらはCrayfish(ザリガニ)。左にはザクロの実、右には(乳酸発酵と思われる)パクチーのペーストが塗られている。
こちらはPanki, Berries & Cavier。パンキとは、米粉にコリアンダー等の香辛料や調味料とヨーグルトを入れて練り、バナナの葉に包んで焼き上げるインドの伝統料理。イチゴとキャビアが添えられている。
こちらはPork Belly。四角い豚バラ肉を焼いた上に、タマリンド、エシャロット、チャイブがのせられている。どれも食べたことがないような独創的な料理の数々に驚嘆しながら、アジアの名店の味を十分堪能でき満足した。この他にも料理があり、デザートも4種類ほどあったが割愛する。全体的にはタイ料理の印象がほとんどなく、インド料理の現代的アレンジといった印象が強かった。