半坪ビオトープの日記

現代美術館MOCA

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現代美術館MOCA

バンコクの有名レストランGaaで昼食を摂った後、バンコク郊外にある現代美術館MOCAに行った。タイの大手携帯電話会社DTACの創業者、ブーンチャイ・ベンチャロンクルによって収集された膨大なコレクションから選ばれた約800点の作品が、2万平米の美術館に展示されている。

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入口のモニュメント、キンナリー像

入口のモニュメントは、キンナリー像であろう。緊那羅インド神話に登場する音楽の神であり、サンスクリット語ではキンナラ(Kimnara)だが、タイ語・英語ではキンナラ(Kinnara)で、女性の緊那羅タイ語・英語ではキンナリー(Kinnari)となる。バンコクのワット・プラケオのキンナリー像は上半身が人間で下半身が鳥だが、このモニュメントでは上半身が鳥で、下半身が人間となっている。

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ダリの蝋人形

美術館に入ってすぐにダリの蝋人形がある。仏塔の形の冠を被りスケッチに勤しむダリの後ろから鏡を覗くと鏡に自分の姿が映る。

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象の大群

まずは5階に上がる。このフロアーには中国、ベトナム、マレーシア、ロシア、イタリア、ノルウェーアメリカなど世界中の芸術家の作品が集められている。この絵は象の大群が描かれているので、インドかタイの画家の作品と思われる。

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プラヨム・ヨディ『Merit Ceremony』

こちらはタイ北部出身の画家、プラヨム・ヨディ(Prayom Yoddee)の作品『Merit Ceremony』である。

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プラヨム・ヨディ『身支度(Dressing)』

こちらもプラヨム・ヨディ(Prayom Yoddee)の作品、『身支度(Dressing)』である。

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スラティン・タタナ『マーラの娘たち(Mara’s Daughters No.1)』

こちらはタイ北部チェンマイ出身の画家、スラティン・タタナ(Surathin Tatana)の作品、『マーラの娘たち(Mara’s Daughters No.1)』である。マーラとは、釈迦が悟りを開く禅定に入った時に、瞑想を妨げるために現れたとされる悪魔、魔神、煩悩の化身。マーラの娘たちは釈迦を誘惑して修行の邪魔をしたが、釈迦は誘惑に負けずに悟りを開いた。日本では、マーラが釈迦の修行の邪魔をした故事から、修行僧達が煩悩の象徴として男根を魔羅と隠語で呼ぶようになったともいわれる。

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チャチャワン・ロクロンタン『涅槃(Buddhism Destination 3 (Death))』

こちらはバンコク生まれの画家、チャチャワン・ロクロンタン(Chatchawan Rodklongtan)の作品、『涅槃(Buddhism Destination 3 (Death))』である。

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タワン・デュチャニー『無題(Untitled)』

4階のフロアにはタイ最北部チェンライ出身の画家、タワン・デュチャニー(Thwan Duchanee)の作品が並ぶ。赤、黒、白や金色を使った、翼の生えた仏像風の絵など迫力ある作品群である。これは『無題(Untitled)』という。タワン・デュチャニーは仏教絵画で世界的に有名な画家だが、建築家、彫刻家としても知られる。

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チャレルムチャイ・コシットパット『Three Kingdom—Heaven,Earth and Hell』

このフロアには中国系のタイ人、チャレルムチャイ・コシットパット(Chalermchai Kositpipat)の作品『Three Kingdom—Heaven,Earth and Hell』も展示されている。左から天国、人間界、地獄。

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ソンポン・アドゥリャサラファン『二次元の村(Two-Dimensinal Village)』

3階のフロアには、タイのシュルレアリスム画家、ソンポン・アドゥリャサラファン(Sompong Adulyasaraphan)の作品、『二次元の村(Two-Dimensinal Village)』がある。

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プラテップ・コチャブア『乳海攪拌(Churning of the Milk Ocean)』

このフロアには、バンコク出身のシュルレアリスム画家、プラテップ・コチャブア(Prateep Kochabua)の『乳海攪拌(Churning of the Milk Ocean)』がある。乳海攪拌とは、ヒンドゥー教における天地創造神話で、『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』などで語られている物語。

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伝統芸能の操り人形劇に使われる人形

2階には、タイの仮面劇コーン、ラーマキエン仮面舞踊劇と同じような、タイ伝統芸能の操り人形劇に使われる人形が展示されている。左の白い女性はラーマ王子の妻、シーダー。真ん中の像は夜叉王、トッカサンだろうか。トッカサンはロンカー国の第3代国王。右の緑の顔はラーマ王子。アユタヤ国の第4代国王になる。

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「ラーマ王子による鬼退治」

ラーマキエン物語は、古代インドの大叙事詩ラーマーヤナ』のタイ国版で、ラーマ王子とシーダー王妃はお家騒動で国を追われた。森で隠れていたが、ロンカー国のトッカサン国王にシーダー王妃は誘拐された。ラーマ王子はトッカサン軍を破り、シーダー王妃を連れ帰り王位に就く。その後も二人の間にいろいろと確執が続いたが、最後は仲直りして幸せに暮らしたという。ラーマキエン仮面舞踊劇では、長い物語を「ラーマ王子による鬼退治」と簡略化して上演している。