半坪ビオトープの日記


目白庭園の池の水際に石垣を築いて、その上に「赤鳥庵」という和風の建物が配置されている。赤鳥庵は京都の北山杉を用いた木造瓦葺き平屋建ての数寄屋建築で、水面に優美な姿を移している。
赤鳥庵という名は、小説家で児童文学者の鈴木三重吉が主宰した童話雑誌「赤い鳥」に由来する。
大正7年、鈴木三重吉は、芥川龍之介の「雲の糸」や「杜子春」、有島武郎の「一房の葡萄」、北原白秋の「赤い鳥小鳥」などを掲載し、多くの童話作家や童謡詩人を輩出することになる「赤い鳥」を創刊した。
その三重吉がこの近くの森の中に赤鳥庵と呼んで借用していた隠居風の建物があったので、その名にちなんで名づけられたわけである。
昨日の朝日新聞にも赤い鳥社が紹介されたが、三重吉は晩年には歌舞伎町に住んだ。折しも今、歌舞伎町の稲荷鬼王神社の境内で、「赤い鳥」の表紙絵などが展示されていて、童謡を歌うなどの催しが企画されている。

庭の奥、北東部に設けられた築山から豊富な水が滝となって流れてくる。周りのモミジが色付く頃に、もう一度訪れたいと思わせる景観である。

飛び石から見上げた滝見台は、お茶の野立処に使われることもあり、滝だけでなく庭園全体の見晴らしがいい。