半坪ビオトープの日記


香落渓を見たあと名張から少し戻り、赤目四十八滝に向かった。ここもまだ三重県名張市であるが、奈良県境に近く、室生赤目青山国定公園に指定されている。
忍者の隠れ湯ともいわれる赤目温泉のすぐ裏に、役行者の開基という延寿院がある。1300年前、役行者が滝に打たれて修行していたとき、不動明王が赤い目の牛に乗って現れた。その不動明王を祀り赤目不動尊として本尊としたのが寺の始まりという。

ただし文献によれば、承保年間(900年前)、河内の金剛仏子正縁が三所権現の夢のお告げにより、名張の南方黄滝に生身の不動明王を見、後築智坊延増が赤目山中に千日籠居し、黄龍山聖王龍寺と号して八坊を建立したとされる。
平安、鎌倉時代山岳仏教の道場として栄えていたが、伊賀忍者の修練場であったため天正伊賀の乱で織田勢により灰燼に帰した。
現在は、天台宗黄龍山延寿院といい、本尊の赤目不動尊は、目黒不動尊目白不動尊とともに日本不動三体仏の一つに数えられている。

伊賀の乱でわずかに残ったのは、鎌倉時代の石灯籠と菊の紋章入りの巨大な鬼瓦ぐらいであった。その石灯籠は重文として境内にある。

境内には樹齢350年、樹高約7m、幹廻り約3.3m、根廻り6.3mという枝垂れ桜の巨木がある。

古来より赤目四十八滝には多くの湧水がある。この水は、伊賀流忍者百地三太夫などが修行のときに身を清め心を鎮めた水で、「じゃんじゃの水」と呼ばれている。

赤目四十八滝の入り口には日本サンショウウオセンターがあり、赤目生まれで特別記念物のオオサンショウウオをはじめ、日本及び世界のサンショウウオなどの両生類を集めて飼育している。サンショウウオという名は、興奮したときに全身にあるイボから山椒の匂いに似た粘液を出すことに由来する。


6号路、つまり琵琶滝コースは沢沿いの細い道なので、11月の混む時期になると上り専用になる。実際、園児たちがぞろぞろ登ってきて摺れ違うのがたいへんだった。
かなり下ってから左側に琵琶滝が見えた。しめ縄の先に滝の流れ出し口があり、この滝に打たれて修験者達が修行に励んだ。
ここで熱心に修行する者には滝の音が琵琶の音に聞こえることから琵琶滝というそうだ。今でも4月〜10月には、蛇滝とともに滝に打たれる水行の修行場となっている。

さらに下ると岩屋大師に出る。昔、嵐の中、病気で難儀している母子のため、弘法大師は法力で岩に穴をあけて母子を避難させた、と伝えられている。

この辺りで小雨の降る中、道端にサワガニがさ迷い出てきた。一日中湿っている沢沿いではよくあることと思う。

小川の水際にはベゴニア属のシュウカイドウ(秋海棠、Begonia evansiana) が咲いていた。花期は8〜10月。中国、マレー半島原産で、江戸時代初期に渡来し、神社仏閣周辺に半野生化している。


園内には武蔵野一帯に多いケヤキ、カエデ、ミズキ、コナラ、クヌギ、エノキ、スダジイシラカシ、アラカシ、サワラなどの樹木がたくさん見られる。
おとめ山とは「乙女山」ではなく、「御留山」または「御禁止山」のことである。昔からこの辺りは狩猟地で、江戸城を築城した武将太田道灌がこの地に狩りに来て、若い娘から山吹の枝をささげられたという山吹伝説がよく知られている。
やがて将軍の狩り場だから一般人は狩猟禁止というので「御留山」または「御禁止山」といわれるようになったという。

池や小川にはコイ、カメ、カエル、メダカなどのほか、サワガニやヘビもたまには見かけられるそうだ。

新緑や紅葉も楽しみだが、シャガやシラン、ヤブランなどの野草を探しながら、ときどき訪れてみたいと思う。


昨日、職場の庭でオスのツグミが餌を探しているのを見かけた。ツグミ(Turdus naumanni) は、10月頃日本全国に群れて飛来したあと散らばり、3月頃再び群れてシベリアやカムチャッカへ帰る、典型的な冬鳥である。

樹上ではクワックワッあるいは、クィックィッと鳴き、地上に降りて2・3m歩いては、枯れ葉の間の虫を探す。体長は約20cm、淡茶色の翼と耳の上の白い筋、正面から見た胸の斑点が特徴的である。


本州から九州および周辺諸島に分布するニホンイモリ(Cynops pyrrhogaster) は、英名では Japanese fire-bellied newt という。
フグと同じテトロドトキシンという毒をもち、腹の赤い模様はそれを知らせる警戒色と考えられているが、分泌する毒性は弱いという。触ったら手を洗ったほうがよい。
腹模様は地域ごとの特徴や個体差があるが、この4匹は兄弟と思われそれぞれがよく似ていた。ところが4年後に腹を見たらかなり模様が変わっていた。
特に変わっていたのがこのクロで、赤い川はしっかりあったが4匹の中では狭いだけだった。それがすっかり黒くなってしまった。
個体差は報告されているが、一匹の個体がこれほど変化するとは驚きだ。

このイモリは黒い点がいくつかあり目立ったのでテンと名づけたが、その点がなくなってしまった。右腹の下のほうに大きな黒い島があるのでテンと判定した。

こちらは最も赤い川が広かったアカで、黒い点はなかったのに多く出ている。以上、シマ、テン、アカの判定は赤い川を囲む黒い岸の形で行った。
全体的に黒っぽくなっているが、個体差もあり、これからも時々調べてみる気になった。寿命は20年といわれているので、まだ5年では短いほうだろう。


大きな水槽に5年前から4匹のイモリを飼っているが、餌は赤虫(ユスリカの幼虫)を月に1〜2回あげているだけで粗食によく耐えている。
昨日、1月ぶりに赤虫をあげても、目が悪いせいか餌の上を行ったり来たりしてなかなか食いつかない。2時間ほど経ってようやく8割方食べた。

4匹のイモリの背中は真っ黒で見分けがつかない。アカハライモリの別名があるように腹が赤いので、その腹模様で区別して4年前に名前を付けた。
腹の赤模様を赤い川と見立て、黒い岸と赤い川との関係で名付けたのだが、全体に黒っぽいのがクロ、最も赤いのがアカ、赤い川に大きな黒い島があるのをシマ、黒い点が目立つのをテンとした。

ところが4年後に腹を見たら、かなり模様が変わっていた。これは右胸に大きな島があり、あまり模様が変わっていないのでシマとわかった。ちなみに上の黒い背中を見せているのはクロである。


洋らんパークは温室になっているので熱帯産の鳥類も多く飼われている。数種のインコやハチドリは網の中だが、放し飼いの鳥も多い。
なかでも圧巻は、このオニオオハシ(Ramphastos toco) 。キツツキ目オオハシ科の37種の中で最大種で、全長60cmになる。アマゾンの宝石と呼ばれ、南アメリカ熱帯雨林に生息する。
大きなくちばしは、体内の熱を血管を通して放熱する役割があることが、最近の研究でわかったという。結構器用で、くちばしで主食の果物の皮をむいたり、泥の中を探ったり、木に穴を開けたりするという。
くちばしの内部は蜂の巣状に空洞になっていて大きさの割に軽いという。

こちらはホロホロチョウ科最大種のフサホロホロチョウ(Acryllium vulturinum) で、全長60cmになる。東アフリカの草原に集団で生息し、飛ばずに早く走り回り、草の実や昆虫を食べる。
小さな頭には羽がなく、後頭部に茶色のビロード状の羽毛が帯状にある。首から胸にかけて黒と白とコバルト色の蓑のような長い羽が生えていて美しい。

この黒っぽい鳥は、ホウカンチョウ科のオオホウカンチョウ(Crax rubra) で、全長は90cmになる。南アメリカ熱帯雨林に生息し、果実、小動物を食す。
オスは白い腹部のほかは黒色で、くちばしとその上のコブだけ鮮やかな黄色をしている。頭には黒い巻き毛がある。メスは頭部が灰褐色でほかは赤褐色と、オスとかなり違い、体格も一回り小さい。