半坪ビオトープの日記

春の花

春の花、ソシンロウバイ
今年の1月から4月までの春の花をいくつか拾い集めてみた。1月に見かけたこの黄色い花は、ロウバイの仲間でソシンロウバイChimonanthus praecox、素心蠟梅)というロウバイロウバイ属の花である。ロウバイとともに中国原産で、中国ではウメ、スイセン、ツバキと共に「雪中の四花」として尊ばれている。江戸時代初期に中国から渡来し、生花や茶花、庭木として利用されている。ロウバイは花の中心部が暗紫色でその周りが黄色だが、ソシンロウバイは花全体が黄色である。どちらも春一番を告げる花として知られている。

アルパカと菜の花
こちらはアルパカと菜の花の組み合わせ。ソシンロウバイと同じく、伊豆アニマルキングダムで見かけた光景。アルパカは南アメリカ大陸原産の家畜の一種で、ラクダ科のラマ属に属する。アンデス地方ではインカ帝国時代より飼育されていて、体毛を衣類などに利用してきた。菜の花はアブラナ科アブラナ属の花の総称で、特にアブラナBrassica rapa var. nippo-oleifera)またはセイヨウアブラナ(B.napus)の別名として用いられる。菜花というと、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーカラシナなどアブラナ属で花や葉茎を食するものをいうが、アブラナ属の花をどれも「ナノハナ」と呼ぶ傾向もある。在来種のアブラナは野菜として生産され、植物油の原料として栽培されているのはほとんどがセイヨウアブラナである。

爪木崎のスイセン
伊豆の爪木崎には野水仙の群生地があり、1月には「水仙まつり」が開催されていた。断崖の斜面から崖下にかけて、約300万本ものスイセンが咲き乱れる。

爪木崎のアロエ
爪木崎ではアロエの花の群生も見ることができる。白いスイセンの花や青い海を背景に咲き誇るアロエの花も美しい。アロエ属の花はアフリカ大陸やアラビア半島などが原産で、日本で野生化しているのは主にキダチアロエAloe arborescens)である。

テトラデニア(フブキバナ)
こちらの淡い藤色の花は、園芸植物のテトラデニア(Tetradenia riparia)という。南アフリカ原産の非耐寒性の多年草低木で、日本には明治末期に渡来したという。和名はフブキバナ(吹雪花)というが、花色は白または淡紫色を帯びる。種子島の月窓亭という屋敷の庭で見かけた。

ナンゴクウラシマソウ
こちらの花は北海道から九州に分布するウラシマソウに見えるが、ナンゴクウラシマソウArisaema thunbergii subsp.thunbergii)である。広島、山口、四国、九州に分布する。ウラシマソウは九州では佐賀県以北の分布である。ウラシマソウよりやや小さく、葉も細い。主脈が白くなることも多い。種子島で見かけたのでナンゴクウラシマソウなのだが、どうみても花の姿はウラシマソウにそっくりである。

ユキヤナギ
こちらの白い小花は、バラ科シモツケ属のユキヤナギSpiraea thunberrgii)である。公園樹や庭園樹として植えられることが多いのだが、本州(関東以西)、四国、九州に自生する日本原産種である。しかし、自生地は極めて少ない。4月初めに5弁で雪白の小花を小枝全体に群がって咲かせる。

ニリンソウ
こちらの白い花は、キンポウゲ科イチリンソウ属のニリンソウAnemone flaccida)という多年草。北海道から九州まで分布し、主に山地の林床などに群落をつくって生える。春山を代表する花の一つである。4月初旬、栃木県の太平山で見かけた。

ソメイヨシノ
こちらの花は、よく知られたソメイヨシノPrunus x yedoensis)。300種以上ある日本のサクラを代表する園芸品種。母をエドヒガン、父を日本固有種のオオシマザクラとする交雑でできた単一の樹を始原とする栽培品種のクローンであることが、1995年に明らかにされた。江戸時代後期に開発され、全国に多く植えられたが関東に特に多い。葉が出る前に咲く花は、淡紅色だが満開になると白色に近づく。万葉集の時代から和歌で詠まれた「サクラ」は大部分が白いヤマザクラだったが、明治になるとソメイヨシノに代わられた。淡い花色が人気のもとだが、樹木全体の姿よりアップして見た方が味わい深いと思う。この花も同じく太平山で見かけた。

太平山・太山寺境内の「岩しだれ桜」
太平山の太山寺境内には、樹齢約370年の「岩しだれ桜」が咲いていた。承応元年(1652)徳川三代将軍家光の側室・お楽の方がこの寺で病気静養していた折、四代将軍家綱の武運長久を願い御手植えされたと伝わる。

「岩しだれ桜」

滝から流れ落ちる清水が岩にあたってはね飛ぶ姿に桜の枝ぶりが似ていることから「岩しだれ桜」と呼ばれるようになったという。栃木市の天然記念物に指定されている。