半坪ビオトープの日記

アルハンブラ宮殿、裁きの門、アルカサバ

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アルハンブラ宮殿とヘネラルフェとの境

イスラム芸術の最高傑作といわれるアルハンブラ宮殿の心臓部のナスル宮殿と、アルカサバ、ヘネラルフェの3箇所は、予約チケットが必要だ。うっかりして予約しなかったため、仕方なく当日販売をあてに朝早くチケット売り場に出向いたが、当日券はなかった。東西に細長く1kmにわたって伸びている宮殿の東南端に、ヘネラルフェとの境があった。右奥に進むとヘネラルフェである。

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アルハンブラ宮殿の赤い城壁

アルハンブラとは、アラビア語の「アル・ハムラー」から転訛した言葉で、「赤い城」を意味する。赤い城壁に沿って西に進み、宮殿中央南の車両の門、あるいは裁きの門から入場できる。

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白い花

車両の門に近づいたところで、道端に白い花を見つけた。後で調べて見ても、なかなか花の名がわからない。花の様子はバラ科カマツカに似るが、実の色が赤くなく青いので、今の所わからない。

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「車両の門」

「車両の門」は、馬車などでも通ることができるように幅広く造られている。道もなだらかになっている。

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サンタ・マリア教会

車両の門をくぐり抜けると、右手にサンタ・マリア教会(Iglesia de Santa Maria)がある。ナスル朝時代にモスクがあった場所に、17世紀に建てられたカトリックの教会である。

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砲台

車両の門をくぐり抜けた左手には砲台があり、大小4機の大砲が並んでいる。その先には裁きの門の上に建つ裁きの塔が見える。

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「裁きの門」

せっかくなので「裁きの門」を下ってみて、下から見上げて見た。この門が市内からゴメレス坂を上がってきて最初に宮殿に入ることができる門である。モーロ人の統治時代、法廷が開かれ民事訴訟関係の裁判が行われたことから、「裁きの門」と呼ばれているという。アラブ風の馬蹄型アーチの入口が二重になっている。手前のアーチの円頂部の上の白い長方形に「手」が彫り込まれている。奥のアーチの円頂部の上には「鍵」が彫られている。「手」はムハンマドの教えのエンブレムで、五本の指は五大戒律(断食、聖地巡礼、施し、沐浴、異端者に対する戦い)を表し、「鍵」は信仰のエンブレムで、預言者ムハンマドに受け渡されたダオウド(ダヴィデ)の鍵を表すといわれる。イスラム教徒がスペインを征服した時、キリスト教徒の「十字架」に対抗して、戦旗に「鍵」を紋章として掲げたことにも通ずるという。現在、「鍵」の上にはキリスト教徒により聖母マリア像が掲げられている。

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「裁きの門」内

大きな門の中は曲がりくねって要塞の雰囲気が漂う。一角に十字架台や聖体顕示台、聖母マリアや天使、聖人の画像など、キリスト教の祭壇を模したコーナーがあった。

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「ブドウ酒の門」

もう一度、裁きの門をくぐり抜けて宮殿内に入ると、正面にはカルロス5世宮殿があるが、左手には「ブドウ酒の門」があった。この門はアルハンブラ宮殿の中でもっとも古い建物の一つと考えられていて、ムハンマド2世の時代のものという。1556年からアルハンブラに住んでいた人々によって、この門に免税ブドウ酒市場が置かれたためにこの名がついたとされる説が有力という。こちらの後面(カルロス5世宮殿側)より向こう側の正面(アルカサバ側)の方が古く、どちらも馬蹄型のアーチの上に二連アーチ付きの窓がついている。後面の窓の真ん中にはナスル朝の盾が刻まれ、窓の隣には「神のみぞ勝利者なり」と記されている。

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モッコク(木斛)の赤い実

門の外側には、モッコク(木斛)の木が植えられ、赤い実をたくさんつけていた。モッコクの実は分厚い花皮が裂けて鮮やかな赤い実を見せる。そのため、アカミツキ(赤実付)という別名がある。

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「ブドウ酒の門」内部

城郭内で唯一アラベスク模様の装飾があるというが、門内部の壁は石やレンガが塗り込められていて古さを感じさせる。

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アルカサバ(要塞)

ブドウ酒の門をくぐると、アルヒベ広場の向こうに建つアルカサバが見える。アルカサバはアルハンブラ宮殿でもっとも古い部分で、ローマ時代の砦の跡に、モーロ人が9世紀に築いた要塞で、キリスト教国の攻撃から都を守るため、13世紀、ナスル朝の初代王ムハンマド1世が、アラブ世界の軍事技術を総結集して難攻不落の軍事要塞に増改築させた。ここも予約が必要なので、残念ながら中を見学することはできなかった。