半坪ビオトープの日記

大正町市場、久礼港


途中、かつおの一本釣りの本場、中土佐町久礼に立ち寄って早めの昼食を求めた。土佐久礼の台所として、明治以来、新鮮な魚介を豊富に提供する人気の大正町市場は、11時前でも観光客でごった返していた。

折しも GWなので、市場のアーケード内には大漁旗のほかに鯉のぼりもたくさん掲げられて賑わっていた。この大正町市場を含む中土佐町久礼の久礼港区域は、平成23年に漁師町として全国初の文化的景観に選定されている。

先ずは腹ごしらえと人気の市場のめし屋「浜ちゃん」に入った。

生の鰹のたたきには、ニンニクがたくさん添えられていて、ご当地ならではのおいしさがある。

珍しくウツボのタタキ定食があったので、初めて食べてみた。淡白な味で物珍しかったが、取り立てて美味しいというほどではなかった。

市場内には朝獲れ・昼獲れの鮮魚店や干物・揚げ物などの店も並ぶ。久礼港で水揚げされた鰹は、本場だけあっていかにも美味しそうだが1本16,000円の値が付いていた。

干物屋では、シイラのみりん干しや一本釣りのうるめ干しが売られ、乾物屋ではアジじゃこや鰹角煮などが売られていた。美味しそうなかつおの唐揚げを買い求めた。

市場駐車場の前には、美しい久礼湾に面してふるさと海岸が広がる。
堤防の向こうに見えるのは双名島。鬼伝説が残る久礼湾の島で、左が観音島、右が弁天島、土佐十景の一つでもある。双名島の鬼伝説は、子供が小さい頃読み聞かせた、松谷みよ子の「うみにしずんだおに」などで知られる。昔むかし、山奥に住む鬼の親子は、海の神様の怒りを鎮めようと祈っているおじいさんと孫に遭った。海が荒れるたびに浜の人々が海にさらわれていくという。ある時海が大荒れに荒れて、心配した鬼は山の大きな岩を二つ金棒に刺し海へ運んで行った。荒れ狂う波に足を取られて倒れ、一緒についてきた小鬼を溺れさせまいと必死な鬼も、力尽きて海に沈んでしまった。小鬼は泣き叫びとうとう岩になってしまったという。

右手には久礼新港があり、その奥には本格藁焼きかつおタタキ体験のできる黒潮工房がある。

ふるさと海岸には、漫画家・青柳祐介がスケッチをしている石像がある。青柳の作品「土佐の一本釣り」は、ここ土佐久礼を舞台に主人公・純平が一人前の漁師になっていく様を描き、16年間連載された人気漫画だった。石像の隣には、青柳がデザインを手がけた「鰹感謝供養碑」がある。