半坪ビオトープの日記

禄剛埼灯台


時国家から曽々木海岸に戻ると、そのシンボルとして知られる窓岩がある。板状の岩の真中に直径2mほどの穴があいている奇岩で、この穴から夕日を見るととても美しいという。この辺りの浜には、冬に波の花が大量に発生する。

能登半島北岸を東に進むと、すず塩田村という道の駅があり、揚げ浜塩田の作業風景が見られる。そのすぐ先の大谷川沿いでは、鯉のぼりの川渡しが眺められる。約450本の鯉のぼりが泳ぐ様は壮観そのものである。壇ノ浦で敗れて能登に配流された平時忠一族は、この大谷で生涯を閉じたとされ、その五輪塔がこの奥にある。

そのすぐ先の馬緤町の海岸には、ゴジラ岩がある。高さ4mほどの海食でできた奇岩で、西の空に向かった海獣ゴジラの姿に似ているといわれる。

さらに進んで木ノ浦海中公園を過ぎると、いよいよ能登半島最先端の禄剛埼灯台に着く。狼煙の道の駅から海岸段丘に上がっていく道端には、八重桜など初夏の花が咲き乱れている。

灯台前の芝生の広場には、いろいろなモニュメントがある。これは「日本列島ここが中心」という、日本地図をあしらった石碑である。北海道から九州までの中心ということであまり説得力はなさそうだ。

能登半島最先端にある禄剛埼灯台は、明治16年に建てられた白亜の灯台で、三方を海で囲まれ、朝日と夕日が同じ場所で見られることで知られる。

普通の灯台はレンズを回転させることで光を点滅させるが、イギリス人の設計になるこの灯台は、レンズを固定し灯火の遮蔽板を回転させることによって点滅させている。歴史的価値の高さからAランクの保存灯台に指定されているほか、「日本の灯台50選」にも選ばれている。

周辺は海抜50mほどの断崖絶壁が続く風光明媚な所で、崖下には「千畳敷」と呼ばれる海食棚が発達している。

古くから日本海航路の要所として重要視されていたため、隔絶された地の割には集落が発達した。特に一帯は海難事故が多かったため、航路を照らす狼煙(のろし)が古くから上げられていた。彼方に見えるのは、能登双見という珠洲岬にある奇岩の景勝地である。

現在の珠洲という地名は「すすみ」(古訓で、のろしのこと)に因むともいわれ、狼煙町、狼煙港、狼煙海岸などの地名が残り、ここから珠洲岬の手前の眼下に広がっている。この日は、その狼煙漁港にある禄剛埼温泉のひなびた漁師の宿、狼煙館に泊まった。