所々で雲が湧いてきたので早めに下山を開始する。上ホロカメットク山の頂上直下の急坂を下ったあとは、ゆっくり歩いて最後の上りで上富良野岳に戻る。
右手の大崩落地も底までよく見下ろせる。八ツ手岩の尖鋒も、噴出途中のマグマが固まったように見える。
上富良野岳から上ホロカメットク山と十勝岳を見納める。昼近くまで青空の下で山歩きできたことに満足する。
外国人カップルの登山者二組がたまたま言葉を交わしていた。片方は富良野岳へ向い、片方は十勝岳温泉に下り始めた。元気がよくて、走るように足早に下っていった。
急坂を下りお花畑を過ぎれば、あとはなだらかなD尾根の下りとなるが、そのあとに300階段もある。
こちらの丈が高いシオガマは、ハッコウダシオガマ(Pedicularis chamissonis var. japonica f. fauriaei)である。北海道と東北地方の山地に生えるヨツバシオガマの品種で、全体に大きく花序も長くなって、花は普通10段以上ついて華やかである。
道端には、青色のイワギキョウや、黄色のエゾウサギギクなどがたくさん咲いていてあきない。
淡紅紫色のイワブクロは、砂礫が移動するような厳しい環境でも生きるパイオニア的植物である。新しい火山の火山灰と礫の混ざったところにも群生する。イワブクロの別名は、タルマイソウという。北海道の樽前山に多いことに由来する。樽前山では、一面イワブクロというように群生するという。