半坪ビオトープの日記


賤機山丘陵の南端にある駿河国総社の静岡浅間(せんげん)神社は、「おせんげんさん」の愛称で市民に親しまれている。正式には神部神社・浅間(あさま)神社・大歳御祖(おおとしみおや)神社の3本社と4つの境内社を総称した呼び方である。
この石鳥居は、神部神社浅間神社に突き当たる長谷通りにある鳥居で、これに関わる「てしゃまんく物語」という井川の伝説がある。駿河の山里井川で生まれたてしゃまんくは、赤ちゃんの時から力持ちで、おとなになっても村の人気者でした。ある日、駿府の町に出たとき、浅間神社で石鳥居を建てていました。大勢の石工達が持ち上げられない何百キロもの石柱を軽々と抱えて鳥居を組上げたのだが、少し左に傾いていたという。井川の里にはこの物語が言い伝えられているそうだ。

石鳥居の正面に道路を挟んで神部神社浅間神社(2社同殿)の総門がある。国の重要文化財に指定されている。

総門を入ると右に神厩舎、正面に楼門とそれに連なる回廊がある。いずれも重文である。文化13年(1816)竣工の堂々たる楼門は、総漆塗りである。龍の彫刻は、名工として知られる左甚五郎の作と伝えられ、安永の火災(1773)のとき池の水を吐いて御殿にかけたという伝説があり、水呑み龍と呼ばれている。ほかに虎の子渡しなどの彫り物がある。二層部分には「當國總社・冨士新宮」の扁額が掲げられている。

神部神社浅間神社は2社同殿なので、楼門を入ると舞殿の前に手水舎が二つある。

大拝殿の手前に大きな舞殿が建っている。文政3年(1820)竣工の舞殿は江戸時代後期に造営された社殿中、唯一の素木造りである。立川流彫刻もここでは素木のものが鑑賞できる。