半坪ビオトープの日記


三島市街地の南部にある佐野美術館は、昭和41年に開館した。創立者佐野隆一は三島生まれの実業家で、化学工業の先駆者として活躍し、私財を投じて日本庭園とともに美術館を築造した。
収蔵品は、国宝の薙刀をはじめ日本刀や東洋の古美術を中心に3000点といわれるが、常設展示はこの平安時代後期作の大日如来座像(国の重要文化財)だけで、もっぱら特設展を続けている。

今年最後の特設展は、山口安次郎作の能装束展だった。「300年残る能装束をつくりたい」と語り、生涯現役を貫き、今年2月に105歳で人生に幕を下ろした西陣織職人、山口安次郎の遺作展で、華麗な能装束が多数展示されていた。

京都西陣生まれの山口安次郎は12歳から西陣一筋で、生涯に200領余りの能装束を製作し、ヨーロッパ各国でも能装束展を幾度も開催してきた。西陣最高峰の絢爛豪華な伝統技術の粋に誰もが驚嘆するはずだ。
能装束展は12月23日までで、次回は京都の清水三年坂美術館の幕末・明治の金属工芸品の展示が企画されている。