半坪ビオトープの日記


安房神戸の広々とした稲田から、安房神社と反対に館山駅に向かって丘陵地に入るところに洲宮神社がある。この神社も延喜式式内社で、安房国二宮とされる。
主祭神天太玉命の后神、天比理乃竎命(あまのひりのめのみこと)で元の名を洲の神(すさきのかみ)という。館山市の西端の洲崎にある洲崎神社も洲の神を祀っているので、江戸時代から社格を争っている。

社伝によれば、神武天皇元年、安房国の開拓者である阿波忌部氏を率いてきた天富命が魚尾(トオ)山に創建したが、文永10年(1253)に現在地に遷したという。現在の境内からも土製の鏡や勾玉、高杯などの祭祀土器が出土しており、古代祭祀遺跡であったことが分かる。
御神木の大公孫樹の向こうに拝殿が建っている。

安房神社と由緒がとてもよく似ていて紛らわしいが、安房神社主祭神の后神が祀られているのであるから、初めから対になっていたと考えられる。
ただし、名神大社に列せられていた安房神社は昔から大神宮と通称されており、現在でも広大な神域をもつ神社であるのに対し、洲宮神社社務所などもなく林の中にひっそりとたたずんでいる。

洲宮神社では今でも、毎年元日の朝に御田植神事が行われている。
拝殿の奥に神明造りの本殿が見える。