半坪ビオトープの日記


さまざまな形をした色とりどりの花がそろっているこの花は、キンポウゲ科オダマキ苧環、Aquilegia flabellata) という。アクイレギアという属名は、一説にラテン語 aquila(鷲)に由来し、まがった距がワシの爪に似ることにちなむという。

和名は、花の形が、紡いだ麻糸を中が空洞になるように巻いた苧環(おだまき)に似ていることにちなむ。古名はイトクリ(糸繰)、別名は糸繰草という。
日本で古くから栽培されている多年草で、本州中部以北の日本や朝鮮半島以北に分布するミヤマオダマキ(A. flabellata var. pumila) を園芸化したものと想定されている。

苧環といえば義経記にある静御前の悲話が有名である。吉野山義経と別れた静御前は、捕えられて鎌倉の頼朝のもとへ送られた。義経の逃亡先を訊問されても口を割らなかった静御前は、鶴岡八幡の神前で舞うよう所望されたとき、愛する義経を偲んで苧環を詠んだ歌をうたいながら舞って、頼朝の不興を買った。政子のとりなしでその場は事なきを得たが、後で静御前が産んだ子は頼朝の命令で七里ガ浜に捨てられた、という悲しい物語である。
「しづやしづ 賤(しづ)の苧環繰り返し 昔を今になすよしもがな」(義経記