半坪ビオトープの日記

クチナシ(梔子)

梅雨時から咲き出し、純白の花びらと強い芳香で強烈な印象を与えるクチナシ。春のジンチョウゲ、秋のキンモクセイとともに、日本では最もよく知られた芳香木である。名は果実が熟しても裂開しないことに由来するといわれる。静岡以西の日本、中国が原産だが、多くは庭木として栽培されている。八重咲きのほか、小花のコクチナシアメリカで改良された大輪のオオヤエクチナシなど園芸品種も多く出回っている。このオオヤエクチナシは、ガーデニアともいうが、それはクチナシ属全体の総称である。
クチナシは、ヨーロッパには1690年に長崎の出島に来たドイツ人ケンペルによって紹介された。その後、18世紀の中頃インド通いのイギリス船が喜望峰から鉢植えを持ち帰った。そのため、英名では Cape Jasmine という。
花弁は食用となる。昔は果実も食したという。熟果を粉末にして卵白を加えて練ったものは、捻挫、筋肉痛、はれ物に効くとされる。また、熟した果実は、クロシンと呼ばれる色素を含み、平安時代から食品や衣料品の染料とされてきた。赤味のあるきれいな黄色が好まれる。
口なしの花さくかたや日にうとき 蕪村