半坪ビオトープの日記

カタクリ(片栗)

土呂部のミズバショウ自生地は防護柵で囲われていたが、その外側にカタクリがちらほら咲いていた。
日本全国に自生するが本州の中部以北に多い、ユリ科多年草。3〜5月、雪解けとともに山野の林下に径5cmほどの淡紅紫色の一花を咲かせる。6枚の花被片が強く反り返ってうつむきに咲き、その姿は内に秘めた情熱を感じさせる。花被片の基部に暗紫色のM字形の斑紋がある。葉は淡緑色で、普通、紫色の斑紋がある。地中の根茎にでんぷんを含み、正真正銘の片栗粉で、昔は菓子や料理に珍重された。今時の片栗粉はジャガイモで代用されているが。

万葉集には古名の堅香子として、大伴家持越中で詠んだ1首のみ載る。
物部の八十少女らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花 (巻十九−4142)
もののふのやそおとめらがくみまがふてらいのうえのかたかごのはな
(多くの少女たちが入り乱れて水を汲んでいる、寺の井のほとりに咲く堅香子の花の可憐さよ  岩波古典文学大系)