半坪ビオトープの日記

瀬田海海浜公園、阿権のガジュマル、犬田布海岸

瀬田海海浜公園
伊仙町役場の西にある瀬田海海浜公園は、自然を生かした海水プール、イベントやキャンプができる芝生広場、シャワー・トイレ、休憩所を備えたレジャー公園である。

瀬田海海浜公園の海水プール
瀬田海海浜公園の海水プールは、小さな子供でも安心して遊べるようにと、自然のサンゴ礁の窪みを削ってプール状にしているため、波の影響を受けずに泳ぐことができる。

瀬田海海浜公園
浅瀬でも岩場に張り付いた貝や泳ぐ魚を見つけることができ、磯遊びも楽しめる。毎年四月29日に「海開き」を開催して海水浴シーズンを迎える。

直売所「百菜」の島バナナやタケノコ
島内最大級の直売所「百菜」では、野菜や特産品、土産物など様々なものを売っている。島バナナは、無農薬栽培のたいへん希少な国産バナナで、小さいが一般的なバナナより長持ちする。徳之島産のタケノコは、ホテイチク(布袋竹)というマダケ属の筍で、鹿児島県ではコサンダケ(小桟竹・虎山竹・五三竹・古参竹)と呼ばれ、奄美大島ではクサンデー、ダーナともいう。アク抜きの必要がなく、歯ごたえも味もよい。煮付け、炊き込みご飯、味噌汁、漬物で食べられる。島らっきょうは、本土のものより小さいが香味が強く、ピリッとした辛味とシャキシャキする食感があり、天ぷらや塩漬けにして食べられるという。しかし、残念ながら現地で実際に口にする機会はなかった。

阿権集落のサンゴ礁の石垣とガジュマル
役場前から県道を犬田布へ向かい、「ようこそ阿権へ」の看板を目印に阿権の集落に入って行くと、サンゴ礁の石垣とガジュマルの巨木が目に入る。

阿権のガジュマル
ガジュマルは、クワ科イチジク属の常緑性植物で徳之島の各地で見られるが、阿権のガジュマルは樹齢300年を超えるといわれ、島内随一の大きさを誇り、古くからケンムン(精霊)が住むと言い伝えられているという。

サンゴ礁の石垣とガジュマルの巨木
阿権のガジュマルの巨木も立派だが、300年も石垣の上で生きているというその石垣も緻密に積み上げられて頑丈で風格を感じさせる。こうした石垣に囲まれた屋敷が数多く存在し、近くには武家屋敷の跡地も見られる。

アオノクマタケラン
そんなガジュマルの木陰で、綺麗な花が咲いていた。ゲットウと同じショウガ科ハナミョウガ属のアオノクマタケランAlpinia oblongifolia)という常緑の多年草である。伊豆諸島や紀伊半島から南西諸島にかけて分布する。ゲットウよりは小さく、花序は円錐状に直立し、多数の側枝に3〜4個の花が付く。花は2cmほどと小さく、白色に紅色の班が入る。

犬田布海岸
県道から分岐して犬田布岬に向かうとすぐに犬田布海岸がある。徳之島には、恐竜のいた時代の深海に堆積した地層が分布している。その地層が地表で見えるのは、徳之島が隆起した証拠である。この犬田布海岸に露出する深海の地層は、泥岩の堆積物の中に様々な大きさの砂岩が引きちぎられたように混ざって見えることから、メランジ堆積物と呼ばれる。

犬田布海岸
海底地殻(プレート)は水深7000mを超える日本海溝琉球海溝に沈み込んで、深海底の堆積物と陸上の堆積物が海溝でぶつかり混ざり合い、強い力で変形し、その後隆起してメランジ堆積物として地表に姿を現した。犬田布海岸のメランジ堆積物は約1億年前の地層と考えられ、それを2012万年前に形成されたサンゴ礁が覆っている。恐竜時代のメランジ堆積物と隆起サンゴ礁の重なりを見られるこの場所は、琉球列島の成り立ちを知る上で重要で、学術的にも貴重な地層という。しかし、残念ながらどこにその現場があるのか見つけられなかった。

犬田布海岸の小島のような大岩
犬田布海岸の駐車スペース脇に、小さな島のような大岩があり、いく層にも重なる地層が見えていた。その岩の上にはソテツが大きな葉を広げていたが、一体どこから種子がやってきたのだろうか。

大岩の下
その大岩の下には、何やら石がたくさん並べられて岩陰墓所なのかと思われたが、近年並べられたものかもしれない。

テッポウユリの群落
犬田布海岸近くでテッポウユリの群落を見つけた。テッポウユリLilium longiflorum)は、九州南部から南西諸島が原産で、本州以東では園芸用に移入されたものが分布する。

テッポウユリ
キリスト教西方教会では、復活祭にテッポウユリを教会の祭壇に飾る習慣があり、それをイースターリリーと呼ぶ。それはキリスト教の伝説から来ているが、イエスが十字架につけられた後、ゲッセマネの園に白いユリが現れた。イエスが最後の瞬間に受けた痛みと苦しみは汗となり、全て白いユリに落ちたという。しかし、このユリが現代のユリと同じとはいえない。元々、ニワシロユリがイースターリリーとして扱われていたが、日本のテッポウユリアメリカでイースターリリーとなり、戦前はアメリカにたくさん輸出されたが、現在ではアメリカが最大の生産地になっているという。そのような人気はどこ吹く風、徳之島の海岸近くに咲くテッポウユリは、野生の瑞々しい姿を見せて輝いている。

放牧されている黒毛和牛
徳之島は全国でも有数の黒毛和牛子牛の産地として有名で、全国のブランド牛の元となる黒毛和牛子牛を育てている。のんびりと草を食む牛たちの姿がのどかさを感じさせる。牛たちの間に小さく見える白いサギは、上部がオレンジ色なので、アマサギBubulcus ibis)に違いない。世界中に広く分布し、本種のみでアマサギ属を構成する。和名の由来は、飴色の羽毛で、サギ科では珍しい色である。

黒毛和牛
黒毛和牛は肥育農家で育てられて、鹿児島黒牛として精肉が出荷される。隣の天城町では「ふるさと納税」の返礼品にしているようだ。