半坪ビオトープの日記

初秋(9月から10月)に見かけた花

ハツユキソウ
9月から10月にかけて見かけた花を取り上げてみる。この白い花は秩父の民宿の近くで夕方に見かけた花。トウダイグサ科ハツユキソウEuphorbia marginata)という一年草。和名の初雪草は、夏になると頂部の葉が白く縁取られてよく目立ち、その姿を雪を被った様子に例えたもの。北アメリカ原産で、日本には江戸時代末期の1860年頃に持ち込まれた。8月になると株全体が緑と白のコントラストに美しく彩られ、もっぱら葉を楽しむ観賞用とされる。花は小さくて鑑賞価値は低い。他のトウダイグサ属と同様、茎や葉の切り口から出る白い乳液には毒性があり、肌に触れるとかぶれることがある。

カラスウリ
こちらの花も秩父で見かけたもので、ウリ科のキカラスウリTrichosanthes kirilowii var. japonica)という蔓性の多年草。北海道から九州に自生する。葉は切れ込みのあるハート型で、表面に光沢を持ち、葉の表面に多数の短毛を持つカラスウリと区別できる。雌雄異株。夏の日没後から白い花を開花し、翌日昼頃まで開花し続ける。皮層を除いた塊根は、カロコンという生薬で、解熱、止渇、消腫などの作用がある。民間療法では、果実から採取し日干しした種子カロウニンを咳止めや痰切りに使われる。

ハナトラノオ
近所で見かけたこの花は、シソ科のハナトラノオPhysostegia virginiana)という宿根草。別名、カクトラノオ。北米東部原産の園芸植物で、日本には大正時代に入り、丈夫なため地下茎でよく増える。花穂は四角錐で、規則正しく並んで咲き、花色は濃桃色から白花まである。

ベニベンケイ
こちらの赤い花は、ベンケイソウ科カランコエ属のベニベンケイ(Kalanchoe blossefeldiana)という多年草マダガスカル原産の園芸植物。矮性種、高性種、斑入り種などがあり、花色も白、黄色、ピンク、赤、オレンジなどがある。八重咲品種もある。

斑入りヤブラン
こちらの花は、ヤブランLiriope muscari)という多年草の斑入り種。ヤブランという和名は、薮に生え、葉の形がランに似ているからといわれる。テッポウダマ(福島県)、ネコノメ(新潟県)、ジャガヒゲ(岐阜県)などの地方名もある。東アジアに分布し、日本では全土、主に本州以南に分布する。林内の下草として自生するが、庭園などの縁取りなどに植えられる。塊根を生薬として利用され、咳止め、滋養強壮などに使用される。

ムラサキゴテン
こちらの花は、ツユクサ科のムラサキゴテンTradescantia pallida ‘Purpurea’)という園芸植物。別名、パープルハート、セトクレアセアという。全体が紫色をしており、葉はやや多肉で長楕円形。6〜9月頃に紅紫色の花をつける。メキシコ原産で1955年頃に渡来した。耐寒性はそれほど強くないが、東京より西であれば戸外でも越冬可能である。

ジュズサンゴ
こちらの花はジュズサンゴ科のジュズサンゴ(Rivinia humilis)という常緑性の多年生草本。原産地は北アメリカ南東部で、観賞用に世界各地に広がった。日本では1906年頃に小笠原諸島に侵入し、沖縄では本土復帰後に観賞用のものが逸出して雑草化した。岡山県、宮崎県にも侵入している。細長く伸びる穂に白い花を並べてつけ、果実が赤くなって美しい。南アメリカのコロンビアでは染料用に栽培され、赤い果実をワインやお菓子の染色、織物の染料に利用している。周年にわたり開花結実するため、白い花と赤い果実を同時に鑑賞できて人気がある。

ブーゲンビリア
こちらのブーゲンビリアブーゲンビレアBougainvillea)は、丈夫で長期間開花することから熱帯各地で親しまれている蔓性熱帯花木である。原産地は中南米。美しく着色した部分は苞で、中心部に白い小さな筒状の花をつける。花色は紫、ピンク、マゼンタ、橙、黄、白色まで変化に富む。

ヨウシュヤマゴボウ
こちらの目立たない草は、ヤマゴボウ属のヨウシュヤマゴボウPhytolacca americana)という多年草。北アメリカ原産で、日本には明治時代初頭に渡来した帰化植物で、市街地の空き地や造成地などで見られる。初夏から秋にかけて白色ないし薄紅色の花からなる花穂を枝先につけ、花後に果実は黒紫色に熟す。潰すと赤紫色の果汁が出る。この果汁は強い染料で、衣服や皮膚につくとなかなか取れない。アメリカではインクベリーなどとも呼ばれ、インクの代用とされた。ヨウシュヤマゴボウは有毒植物で、果実も含め全草が有毒である。毒成分はアルカロイドサポニンアグリコンなどだが、根には硝酸カリウムが多く含まれる。誤食すると、2時間ほどで強い嘔吐や下痢が起こり、摂取量が多いと瞳孔を開き、強い錯乱状態から痙攣や意識障害が生じ、最悪の場合、呼吸障害や心臓麻痺を起こして死に至るので、十分な警戒を要する。住宅地周辺でよく見かけるので、厄介な雑草である。

キキョウの白花種
こちらの花は、キキョウ(Platycodon grandiflorus)の白花種である。花色は青紫色が普通だが、白色や桃色の花をつけるものや二重咲きになる園芸品種もある。キキョウの根はサポニンを多く含むため、生薬として利用され、鎮咳、去痰、排膿作用があるとされる。

ルリマツリ
こちらの空色の花は、イソマツ科ルリマツリ属のルリマツリPlumbago auriculata)という熱帯性常緑低木である。原産地は南アフリカ。別名はアオマツリ、プルンバゴとも呼ばれる。初夏から晩秋まで花を咲かせる。空色のほか、白色、薄紫色の品種もある。和名のルリは花色、マツリはマツリカ(ジャスミン)に似た花の姿に由来する。

ヒガンバナ
こちらの花は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属のヒガンバナ彼岸花Lycoris radiata)という有名な多年草。別名は曼珠沙華、葬式花、カミソリバナ、シビトバナ、トウロウバナなど数百以上あるという。原産地は中国大陸で、日本では史前帰化植物に分類され、全国に分布し、田畑の縁、墓地、道端などに生育する。有毒植物で、特に鱗茎には作用の激しいアルカロイドなどを含む。経口摂取するとよだれや吐き気、腹痛を伴う下痢を起こし、重症の場合、神経麻痺を起こして死に至ることもある。

ショウキズイセン
ヒガンバナには白い花のシロバナヒガンバナや黄色い彼岸花ショウキズイセンがあるが、シロバナヒガンバナ彼岸花ショウキズイセンとの交配種とされる。この黄色い花がショウキズイセン鍾馗水仙Lycoris traubii)である。四国、九州、南西諸島、台湾に分布し、主に石灰岩地の岩場や林縁に生育する。花が美しく、公園や庭に植栽されることが多い。ヒガンバナと同じく有毒植物である。