半坪ビオトープの日記


赤塚植物園には万葉植物園も併設されている。この鹿子餅のような形の赤い実は、マツブサ科サネカズラ属のサネカズラ(Kadsura japonica) 。カズラという属名は、つる植物を意味する日本語のカズラ(葛)に由来する。
関東、東海、北陸以南の日本、および台湾、朝鮮半島南部に分布する。花期は8月頃。古くからよく知られ、つる、汁液が滑らかなところから、サ(発語)ナ(滑)カヅラ、転じてサネカヅラと呼ばれ、汁液は塗料のほか整髪料にも使われ、美男カズラの別名もある。実葛とも書く。

サナカヅラ、サネカヅラの名は、「古事記」「万葉集」にも見え、「出雲風土記」では五味子の字を当てている。つるが長く伸びてからむことから、後に逢う、来るという歌詞の枕詞になった。
玉くしげ みむろの山のさなかづら さ寝ずはつひに ありかつましじ 
(巻二-94)藤原鎌足
あしひきの 山さな葛もみつまで 妹に逢はずや わが恋ひ居らむ 
(巻十-2296)作者不詳