半坪ビオトープの日記

キブシ(木五倍子)

日本特産種で全国の山地にごく普通に自生し、よく分枝して高さ3〜5mになり、大きいものは8mにも達する。3〜4月、葉の出る前に長さ4〜10cmの淡黄色の穂状花序を枝いっぱいに垂らす。
雌雄異株で、花の後、雌株にぶどう状に実を結ぶ。その果実をヌルデの五倍子(フシ)の代用として黒色の染料に使うので、木ブシ、一名豆ブシあるいはキフジともいう。沖縄では歯を染めるのにもこれを用いたということで、五倍子と書いてキブシと読むこともある。漢名は通條花。
この木は早春の生花としてもいいので、野生のものを採取したものが切花店で売られ、茶花によく生けられるが、水揚げがよくないのが難である。
キブシ科キブシ属で、学名(Stachyurus praecox)の属名は、尾状に下がる花穂を示し、種名は早咲きを示す。変種として、海岸近くに生える、ハチジョウキブシ(ナンバンキブシ)があり、花もやや大きく穂状花序も長い。福島、新潟以西、伊豆諸島、沖縄、小笠原にも分布する。この写真の花は大井川下流切通で見かけた。