半坪ビオトープの日記


ひなまつりの花として日本でも古くから馴染みの深いモモ(桃、Prunus persica) のうち鑑賞用品種を一般にハナモモ(花桃)と呼ぶ。八重咲きの桃色花が普通だが、このように緋赤色の花も多い。
モモの原産地は中国とされるが、日本では弥生時代縄文時代のモモの種が見つかっているとされるので、中国からの渡来としても有史以前と思われている。
ギリシアには紀元前400〜300年に伝えられ、ローマにはキリスト教創始直後に伝えられたといわれる。その後、ローマ帝国時代にヨーロッパの広い範囲に広がったとされる。しかし、ペルシアを経由して伝わったことが学名に表れている。

日本書紀万葉集にも多く取り上げられ、邪気を払う霊力があると信じられてきた。奈良時代陸奥国の桃生柵などにより、全国に早くから普及していたと考えられている。
春の苑(その)紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女(おとめ)  大伴家持万葉集 巻十九 4139)
ところが、続く平安時代にはモモの花はあまり顧みられない。清少納言も「枕草子」で木の花に紅梅、桜をあげるが、桃にはふれていない。「源氏物語」にも桃は顔を出さない。
鑑賞用のハナモモの改良が盛んになったのは、やはり江戸時代で20種以上が記述されている。

花弁が細くて菊のように咲くのでキクモモ(菊桃、Prunus persica var. 'Stellata') と呼ばれる品種もある。江戸時代に中国北部から渡来し、改良されてきた。
花期はモモより遅く3月下旬から4月中旬で、緋赤色の花が多い。