半坪ビオトープの日記


下田駅の一つ手前に蓮台寺駅があり、稲生沢川と蓮台寺川に沿った閑静な山間に蓮台寺温泉がある。蓮台寺とは750年頃、行基によって創建された寺で、真言密教修験道場や宿坊として、1220年頃までこの地にあったと伝えられているが、場所は特定できず地名のみが残っている。
温泉の奥に吉田松陰寄寓処がある。世界情勢を見聞するため海外密航を企てた松陰は下田に向かったが、皮膚病の治療を受けるため蓮台寺共同浴場に入浴した。そこで知り合った医師村山邸に数日滞在し、夜になると下田の様子を下見した。

茅葺き屋根など当時の姿を残す邸宅が保存され、宿泊した部屋や温泉風呂などが公開されているが、たまたま年末で休みとなっていた。

こちらはすぐ近くの吉田松陰湯治場の跡だが、現在でも上の共同浴場といって村人しか入れない。

民家や旅館が軒を連ねる石畳で整備された「湯の華小路」は、約640m続いている。道の両側には玄武岩をくりぬいた街灯もあり、古い神社など名所も点在していて案内板もある。

ここが、上の共同浴場に近い「湯の華小路」にある蓮台寺温泉の源泉である。

蓮台寺温泉は1300年ほど前、行基が伊豆を行脚していた途中、夢で天狗のお告げを受け、湯煙の上る場所を杖の先で掘ると、こんこんと湯が湧き出たという伝説がある。夢に出てきた天狗は、権現様のお使い姫であるとされ、湯権現と名付けられた。行基がしたためたという天狗の絵を守り本尊に、祠を建てて祀っている。上の共同浴場の奥に上の湯権現が、ここ湯の華小路の入口に下の湯権現がある。