いよいよ、壱岐の最北端に浮かぶ小さな無人島、辰ノ島クルーズに出かける。遊覧船に乗って勝本港を出てまず北に向かう。右手には深緑の串山半島と名鳥島が重なって見え、正面の若宮島との間の仲瀬戸が開けて玄界灘が垣間見える。
沖に出るほどに青い海が緑を増してエメラルドブルーに変わっていく。
辰ノ島の右(東)手前に横たわる若宮島の東側を南から北へと眺めながら進む。
右手には名鳥島の半島が長く伸びていて、先端に三角形の岩山が残されている。
若宮島の南岸には白い灯台が建ち、島の頂きにはアンテナ塔らしきものが建つ。若宮島には寛永18年(1641)に遠見番所烽火台が設けられ、明治38年(1905)には若宮灯竿、大正8年(1919)から若宮灯台となった。昭和11年(1936)に壱岐要塞の施設として若宮島砲台が設置された。現在は海上自衛隊壱岐警備署の施設があり、九州本土と対馬・五島列島を結ぶ通信拠点となっている。一般人の立ち入りは禁止されている。
辰ノ島の海水浴場は石波止とも呼ばれる浅瀬で左右に島を二分する。右手の岩場が恵比須鼻。左の岩場は目出鼻という。その一番右に渡し船の発着所がある。
辰ノ島の海水浴場はロープで囲まれた浅瀬で、エメラルドブルーの海水が波静かで美しい。白い砂浜も広く、休憩棟の上に伸びる白い道が、上陸した後散策する見返り坂である。
断崖絶壁を東に回り込むと大きな海蝕洞が二つ並んでいて、海の宮殿と名付けられている。
マンモス岩を回り込んで反対側から振り返ると、マンモスが小さくなって潮吹き岩のある高瀬という大岩に傅いているように見える。
辰ノ島の北西部には大きな断崖絶壁が続く。大屏風と呼ばれている。右端に小さな人影が見えるが、この釣り人の背の高さから推定すると、この断崖の高さは50mほどありそうだ。
大屏風の右端近くに寄ってみると、縦に大きな海蝕洞があり、遊覧船は果敢に近づいてスリルを味合わせてくれる。羽奈毛観音と名付けられている。
さらに西に回り込むと、蛇ヶ谷という縦に細長い大きな海蝕洞がある。高さ50mもある断崖の裂け目で、奥まで貫通して鬼の足跡となる。後程辰ノ島に上陸して、断崖の上から覗き込むことになるはずだ。
辰ノ島の西海岸を南に回り込むと大きな岩が立っている。目出柱と呼ばれる大岩で、上には大きな鳥の巣が認められた。