半坪ビオトープの日記

春の花巡り

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湯河原梅林

今年もすでに夏になり梅雨入りしているが、この春の花巡りで出会った花をいくつか紹介する。湯河原郊外の幕山の南麓に1980年に造成された幕山公園に、1996年に設けられた湯河原梅林がある。2月中下旬、約4,000本の紅梅・白梅がさながら「梅の絨毯」のごとく咲き誇る。

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湯河原梅林

幕山斜面に張り巡らされた遊歩道を歩くと、梅の花を間近に見ることができ、梅の香りに包まれる。

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三毳山のカタクリ

栃木県佐野市の郊外に万葉集にも歌われた三毳山(みかもやま、229m)が横たわる。三毳山の北斜面の中腹1.5haに約150万株のカタクリが群生している。3月中下旬に紫色の可憐な花が一斉に咲き揃い、その見事な光景には圧倒される。

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三毳山のカタクリ

カタクリErythronium japonicum)は、ユリ科カタクリ属の多年草で、別名カタコとも呼ばれ、古語では堅香子と呼ばれていた。春先に紅紫色の花を咲かせた後、地上部は枯れる。種子で繁殖するが、発芽から開花まで8年ほどかかる。かつて球根から片栗粉が作られていた。

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大前神社のサンシュユ

栃木県真岡市にある大前神社の境内で、サンシュユ(山茱萸)の花が咲いているのを見つけた。大前神社は1500年有余の歴史を誇る延喜式内社で、祭神として大国主神(大黒様)と事代主神(恵比寿様)を祀る。サンシュユCornus officinalis)は、中国原産のミズキ属の落葉小低木で、春先に葉が出る前に黄色の花を咲かせ、秋には赤い実をつける。

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焼森山のミツマタ

栃木県茂木町の焼森山(423m)の山麓の谷にミツマタの群生地がある。普段は人気のない山全体が最盛期には幻想的な雰囲気に囲まれ、見物客がたくさん集まる。この群生地は、戦時中、紙不足を心配した住民が植えたのが始まりで、谷の斜面約7,000㎡に約7,500本が群生している。

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焼森山のミツマタ

ミツマタEdgeworthia chrysantha)は、中国南西部原産のジンチョウゲミツマタ属の落葉性の低木で、3月中下旬に三叉に別れた枝先に黄色い花を咲かせる。樹皮は和紙や紙幣の原料として用いられる。枝が必ず三つに分かれるため、三叉と名付けられ、三枝、三又とも書く。古代には「サキクサの」という言葉が「三つ」という言端(ことば)に係る枕詞とされ、「先草」「幸草」とも呼ばれた。最古の用例とされる、万葉歌人柿本人麻呂の和歌では、「春さればまず三枝(さきくさ)の幸(さき)くあれば後にも逢むな恋ひそ吾妹」とあり、どちらとも取れる表現になっている。

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鬼無里にある奥裾花自然園のミズバショウ

水芭蕉といえば尾瀬が有名だが、長野県鬼無里にある奥裾花自然園にもミズバショウの群生地がある。5月になると、約7haの広大な湿原に81万本のミズバショウが咲き、日本一ともいわれる規模を誇る。

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鬼無里にある奥裾花自然園のミズバショウ

ミズバショウサトイモ水芭蕉属の多年草で、北海道と本州中部地方以北の日本海側の湿地に自生する。雪解け後の発芽直後、葉間中央から純白の仏炎苞と呼ばれる苞を開く。花に見えるが葉の変形したものである。仏炎苞の中央にある円柱状の花序に小さな花が集まっている。