半坪ビオトープの日記

大岩より茶臼岳山頂へ

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大岩

とうとう辺りの草木もなくなり、岩だらけの道になって前方に大きな岩が迫ってくる。高さが5m以上もありそうで、その名も大岩という。

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ミヤマコウゾリナ

大岩を右手から上り詰めてさらに急になった登山道を進んでいく。帰りの下りで膝が痛くなるのではと、心配になってくる。なおも進むと岩陰に鮮やかな黄色い花が咲いていた。このミヤマコウゾリナ属のミヤマコウゾリナ(Hieracium japonicum)は、本州中部地方以北の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草で、日本固有種である。

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コケモモ

ようやく頂上が見えてきた岩陰に小さな花が咲いていた。ツツジ科スノキ属のコケモモ(Vaccinium vitis-ideaea var. minus)である。北海道、本州中部以北、四国の亜高山帯上部から高山帯の林縁、草地、岩礫地などに生える常緑小低木で、樹高は10-40cmで、幹は密集し、よく分枝する。葉は革質で互生し、楕円形の小さな葉の先は丸い。花はやや赤みを帯びた白色で、枝先に数個下向きに咲く。赤い果実は甘酸っぱく、果実酒やジャムにする。

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茶臼岳山頂の那須岳神社

那須茶臼岳山頂には鳥居が建てられ、その先に石造の祠が安置されている。ここに鎮座する那須岳神社は、麓にある那須温泉神社の奥宮である。毎年5月8日に那須岳開山祭りが、この那須岳神社で行われるが、今年は麓の那須温泉神社にて関係者のみで行われた。

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山頂より白笹山方面

山頂からは360度の展望を楽しむことができる。南南西を眺めると、だだっ広い日の出平のすぐ左に白笹山が見える。写真には写っていないが、その左には南月山がある。

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三本槍岳と朝日岳

北を眺めると山頂の噴火口跡の向こうに尖った朝日岳1896m)が、その左手奥に三本槍岳(1917m)が認められる。三本槍岳は茶臼岳より2m高く、那須連山で最も高い。

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山頂の噴火口跡

帰りは山頂の噴火口跡を時計回りに輪を描いて進んでいく。向こう側には断崖があるように思われる。那須火山群の活動は、北側の甲子旭岳が約60万年前に噴火して始まる。次に三本槍岳が40万年前から25万年前に噴火し、20万年前から5万年前まで南の朝日岳と南月山が活動した。

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茶臼岳山頂

断崖に近づいたあたりで茶臼岳山頂を振り返ると、山頂の周りをドローンで撮影している人がいた。噴火口跡にはちらほらと草木が生えているが、さほど古く感じられなかった。現在噴気活動をしている茶臼岳は3万年前から活動しているが、流動の少ない安山岩のみを噴出しているためこんもりした溶岩ドームを形成した。

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噴火口跡の断崖

断崖は大きな溶岩の塊から絶えず崩れ落ちるようになっていて、噴火の激しさが今も残っている様子が見られた。有史後の茶臼岳の噴火は爆発型で泥流を生じやすく、1408年から1410年の活動では噴出した溶岩による火砕流が発生し、犠牲者180余名との記録が残る。その後1846年に噴火した後、活発な噴気活動が始まって今に至る。

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峰の茶屋と朝日岳

茶臼岳の噴火口跡を一周してロープウェイ山頂駅に戻るのが老体には最も楽だった。かなり若い頃に息子を背負って歩いた時には、この下に見える赤い屋根の峰の茶屋まで下り、右に折れてロープウェイの山麓駅まで戻ったのだが、その体力は遠い記憶の中にあるだけだ。いつかは登って見たいと思っていた朝日岳も今では険しく見える。