半坪ビオトープの日記

ウトナイ湖


道南の旅の最後は平取町二風谷のアイヌ関連施設を見学する予定だが、途中、苫小牧市郊外のウトナイ湖に立ち寄った。ウトナイ交流センターを兼ねる「道の駅ウトナイ湖」では、日本一の水揚げ量を誇り、苫小牧市の貝となっている「ホッキ貝」や「ハスカップ」などの特産品も販売されている。

ウトナイ湖は、周囲約9km、面積275ha、平均水深0.6mの淡水湖(海跡湖)である。ウトナイトー、ウトナイ沼などとも呼ばれ、アイヌ語の「ウッ・ナイ・トー」(あばら骨の川の沼)に由来する。この湖を水源とする川に両岸からいくつもの小河川が合流する様を、背骨と肋骨に例えた命名である。

およそ6000年前、苫小牧付近の海面は3m高く、勇払原野一帯は海の一部だった。その後、地球全体の海面が下がって広い砂浜となり、草が生えて原野となり、美々川から注ぐ水が溜まってウトナイ湖となった。南流する美々川勇払川に合流する地点の1kmほど北にあり、周囲は低湿地が広がり、沼が点在しているが、ウトナイ湖はその中で最大のものである。タヌキモやヒシなどの水生植物群落が見られ、周辺にはマコモやヨシの群落、ハンノキ林が広がる。

ウトナイ湖は、マガンやハクチョウなどの渡り鳥の中継地ともなっており、260種以上の鳥類が確認されている。1981年、湖周辺の5.1平方kmの範囲が、日本野鳥の会によって日本初のバードサンクチュアリに指定され、翌年には国指定ウトナイ湖鳥獣保護区に指定された(面積510ha)。

1991年には日本で4番目のラムサール条約登録湿地となった。湖畔にはウトナイ湖野生鳥獣保護センターが環境省により建てられ、苫小牧市と共同運営されている。館内の大型望遠鏡を使って、マガンやハクチョウの様子を観察することができ、冬には対岸の枝にとまるオジロワシオオワシの姿も観察される。

展示ホールの壁画に描かれたウトナイ湖の四季の様子を見ると、様々な動植物の生態が集約されていて興味深い。

渡りの季節にはマガンやハクチョウなど数万羽が飛来するが、個体の幾つかは渡らずにこの地で過ごし、一年を通じて観察できる。実際には遠くてよく見えなかったので、パンフの切り抜きを載せる。

オオハクチョウコハクチョウも飛来するが、大きさだけでは見分けにくい。細かく言うと、くちばしの黄色部分が鼻孔の下まで伸びているので、これはオオハクチョウと認められる。

野生鳥獣保護センターの東には、湖畔に沿ってネイチャーセンターを中心に、ハクチョウの小径、キタキツネの小径など、6本の自然観察路が設置され、季節の野鳥や草花を楽しみながら散策できる。鳥獣保護センターの裏手には、エゾヤマザクラが満開に咲いていた。